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【徹底解説】シン・OCI移行ツールでシステム停止時間を短縮──3つのツールを検証してわかった最適解

ネイティブツールを使いこなし、シームレスなクラウド移行を実現

「事前準備」段階で考慮すべき2つのポイント

 事前準備フェーズの検証結果として、「ZDMとDMSに大きな違いはなかった」と上水口氏は説明したものの、担当者が考慮すべきポイントを指摘した。

 担当者がデータの移行時に懸念するのが、本番稼働中の環境への影響度である。OCI移行ツールを利用するには、事前準備の段階で本番稼働中の既存環境に対して大きく2つの設定が必要であり、ここが大きなポイントとなると上水口氏はいう。

 1つ目が個別パッチの適用だ。ツールの中で内部的にGoldenGateの機能を利用するが、その要件として、移行元となるデータベースに個別パッチの適用が必要となる。パッチ適用にはシステムを停止するフェーズが発生するため、これができない場合はOCI移行ツールが利用できない。この可否はOCI移行ツールを検討するうえで非常に重要なポイントだと指摘する。

 2つ目がフォース(強制)・ロギング、サプリメンタル・ロギングの有効化だ。これらがデータ同期を正確に行うために必須となる。しかし有効にすると、REDO(更新履歴)の生成量が増えるので、事前にアーカイブ出力先の空き容量を十分に確保しておかなければならない。

 その他にも考慮すべき細かい設定はあるが、システム停止をともなうような既存環境への影響が大きいものに関して、この2つ以外は特にないという。

OCI-GGインスタンス作成は6ヵ月以内で計画を

 続いて上水口氏は、事前設定フェーズの検証内容について触れた。ZDMではこの段階において、ZDMホストのための専用インスタンスを作成し、そこにZDMのツールをインストールして設定を行う。また、ツール内部で専用のGoldenGateインスタンスの作成も必要となる。一方で、DMSはOCIのコンソールから利用することができ、特別なツールなどのインストールは不要。コンソール画面で各種設定を行うことで利用可能となっており、シンプルでわかりやすいと上水口氏は話す。

 また、初期移行時にはダンプファイルの出力先設定も必要となる。選択肢としては「Object Storage」を利用するか、「DATABASE LINK」経由でエクスポート・インポートを行うかの2択となるが、アシストではオブジェクトストレージを使う方法を推奨している。上水口氏は理由として、DATABASE LINKはすべての作業を一貫して実行する必要があるからだと説明。エクスポートしたら一旦作業を止める、などというようにステップを踏んで実行することができず、リスクをともなうと指摘した。

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 また、差分移行に利用されるOCI-GGインスタンスの作成について、上水口氏は「難しいイメージを抱く人も多いが、DMS/ZDMのいずれにおいても非常にシンプルで簡単に作成できる」とした。ツール専用のカスタムイメージがOCIであらかじめ用意されており、それを読み込むだけで完了する。注意点としては、無償で利用できる期間が183日間であることだ。そのため「移行スケジュール内に、きちんと作業が収まるように計画する必要があります」と上水口氏はいう。つまり、無償利用の範囲で移行を完了させるのであれば、6ヵ月間以内で計画することがポイントとなる。

DMSとZDMではエラーの確認方法に差異あり

 最後のフェーズ「データ移行」では、DMS/ZDMともに初期移行時の設定が完了すれば、後続のタスクは自動で実行が可能。自動化されるタスクは、Data Pumpによるエクスポート・インポートを行う「初期移行」、レプリケーションが動作する「差分同期」、「データベース切替」の順で行われる。

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 最初に行われる移行用の設定時には、移行タスクの作成が必要となる。DMSはOCIコンソール上で操作が可能であり、移行タスクを作成・実行する流れだ。一方、ZDMはレスポンスファイルに各種移行情報を記載し、それを実行する。DMSはコンソール画面に必要な設定が網羅されているが、ZDMはレスポンスファイルに細かいパラメータまで記述するのは多少ハードルが高いかもしれないと上水口氏は指摘する。

 設定後の初期移行と差分同期のフェーズは、双方のツールで大きな違いはない。とはいえエラー発生時の確認方法は異なり、DMSは成功、失敗、保留などがステップごとにコンソールですべて確認できる。通知サービスと連携しユーザーへ通知することも可能だ。エラーがあれば、画面上でどのようなメッセージが出ているか確認でき、対応するログのダウンロードなどもできる。一方、ZDMはタスク監視となり、特定のログを監視するべくコマンドライン操作を駆使して見ていかなくてはいけない。また、どのフェーズでエラーが発生しているかによってログの出力先が異なるため、調査の難易度は多少高くなるという。

 本番への切り替えは、データ同期を行い、スイッチオーバーという切り替え作業で完結する。これらもツール側で制御でき、特に難しいものはないと上水口氏。GoldenGateはデータ同期が終わればそれで完了となるので、別途データの整合性のチェックは実施したほうが良いと指摘した。

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

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