SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

最新イベントはこちら!

Data Tech 2024

2024年11月21日(木)オンライン開催

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けの講座「EnterpriseZine Academy」や、すべてのITパーソンに向けた「新エバンジェリスト養成講座」などの講座を企画しています。EnterpriseZine編集部ならではの切り口・企画・講師セレクトで、明日を担うIT人材の育成をミッションに展開しております。

お申し込み受付中!

EnterpriseZine(エンタープライズジン)

EnterpriseZine編集部が最旬ITトピックの深層に迫る。ここでしか読めない、エンタープライズITの最新トピックをお届けします。

『EnterpriseZine Press』

2024年夏号(EnterpriseZine Press 2024 Summer)特集『ニューリーダーに訊く──2024年春、CxOに就任した2人が目指す姿とは』

週刊DBオンライン 谷川耕一

「Oracle Database 23ai」なぜ“cloud”から“ai”に、その狙いは……

AI、開発者、そしてミッションクリティカルへのニーズに対応する

 連休真っ只中の米国時間5月2日、Oracleは「Oracle Database 23ai」を発表した。2022年秋に米国ラスベガスで開催されたOracle CloudWorld時点では“23c”として発表。その際のキーメッセージは「App Simple」で開発者に優しいデータベースだった。2023年のイベント時には、前年から急遽巻き起こった生成AIブームをキャッチアップし、新たにベクトルデータベース機能「AI Vector Search」の搭載を明らかにしていた。そして今回、この機能を含む形で、名称をCloudの“c”から“ai”に変えたのだ。

「Oracle Database 23」はCloudの“c”から“ai”に

 Oracle Database 23aiの注力分野は、AIと開発者、そしてミッションクリティカルの3つだ。ミッションクリティカルは、Oracle Databaseが長きにわたりターゲットとしてきた領域であり、23aiでも踏襲された。また、堅牢なだけでなく、開発者がより使いやすいようにアプリケーション開発を容易にするための機能を数多く揃えていることも強調する。

 開発者に優しいデータベースだとする大きな理由が複数のデータモデル、データタイプ、データワークロードを1つのデータベースで扱える「コンバージド・データベース(Converged Database)」のコンセプトだ。Oracle Databaseでは、リレーショナルデータはもちろん、ドキュメントやKey-Value、Spatial、Graphなど、さまざまなデータタイプのワークロードを1つのデータベースで対応できる。これにより開発者は複数のデータベースのスキルを持つ必要もなければ、その管理も必要ない。バックアップやセキュリティの担保なども、1つのOracle Databaseだけ対応すれば良いだろう。その分だけ開発者やDBA(データベース管理者)は、アプリケーションの開発・運用に注力できるというわけだ。

 そして、コンバージド・データベースの対応範囲をベクトルデータにまで拡大し、“AIのためのデータ活用プラットフォーム”として進化したのがOracle Database 23aiとなる。「AI Vector Searchは画像やDNAの塩基配列など、すべてのデータをベクトルデータに変換して取り扱えます。これにより、たとえば膨大なアルバムの中から似たような写真を容易に探し出せます」とOracle会長兼CTOのラリー・エリソン氏は話す。AI Vector Searchは、データの中身を検索して類似点を見つけ出せるという。ベクトル検索では、データが完全に一致する必要はない。ドキュメントの内容が似ていれば、それを見つけられる。

Oracle 会長 兼 CTO ラリー・エリソン(Lawrence Ellison)氏
Oracle 会長 兼 CTO ラリー・エリソン(Lawrence Ellison)氏

 もちろん、ベクトル検索自体は新しい技術ではない。ベクトル化した大規模なデータをOracle Databaseに格納して取り扱えることが画期的であり、これにより企業が持つデータから類似性の高いデータを抽出でき、容易に大規模言語モデルと連携可能だ。

 市場には既に、ベクトルデータを取り扱うための専用データベースもいくつかある。一方、エリソン氏はベクトル・データベースを独立した製品として提供するべきではないと主張する。たとえば、かつてXMLデータを扱う専用のXMLデータベースがあったように、新しいデータタイプが出てくると、それを扱う専用の仕組みが登場する。とはいえ、「XMLデータベースは長続きしませんでした」とエリソン氏。データタイプごとにバラバラにデータベースを用意するのではなく、すべてのデータは1つの場所にあるべきだ。そうすることで、予想ができないようなユーザーからのクエリにも容易に答えを返すことができる。

 重要なことは、欲しいデータを容易に見つけられることだ。バラバラのデータベースでこれを実現することは簡単ではない。すべてのデータを1つのデータベースに保管すれば、欲しいデータは容易に見つけられる。

 そして現状、膨大なデータを学習した基礎的な大規模言語モデルも存在するが、そこには個人の銀行口座の記録や個人的なメールの情報などは含まれていない。そこでOracle AI Vector SearchとRAGを組み合わせることで、個人のデータなどを含めた形で大規模言語モデルを用い、最適な回答を返せるようになる。この仕組みならば、データベースに登録される最新データを含めて回答を生成可能だ。「データベースと大規模言語モデルの組み合わせは、ユーザーに素晴らしい体験を提供するでしょう」とエリソン氏は強調する。

 企業のデータを容易に連携させる仕組みは、別途ベクターデータベースを導入することなく、Oracle Databaseを23aiにすることで実現できる。既にOracle Databaseを利用しているならば、この機能を使うのに追加料金は発生しない。

次のページ
顧客が求めるなら「Autonomous Database」をAzureで動かす

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
週刊DBオンライン 谷川耕一連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

EnterpriseZine(エンタープライズジン)
https://enterprisezine.jp/article/detail/19683 2024/05/21 08:00

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

EnterpriseZine(エンタープライズジン)編集部では、情報システム担当、セキュリティ担当の方々向けに、EnterpriseZine Day、Security Online Day、DataTechという、3つのイベントを開催しております。それぞれ編集部独自の切り口で、業界トレンドや最新事例を網羅。最新の動向を知ることができる場として、好評を得ています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング