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コンテンツ制作の現場にもデータ活用の波──日テレが“長年のサイロ化”を統合プラットフォーム整備で解消

社内エバンジェリストの活躍で現場発の活用術も。次は「生成AI」活用に着手

 開局70年を迎えた日本テレビ放送網(以下、日本テレビ)。「コンテンツ中心主義」を掲げ、従来の視聴率に加え、見逃し配信やSNSなど多種多様なデータを活用し、コンテンツや広告の価値の可視化に取り組んでいる。鍵を握るのは、独自のデータマネジメントプラットフォーム「FACTly(ファクトリー)」だ。DX推進局 データ戦略部の川越五郎氏と辻理奈氏に舞台裏を聞いた。

テレビ制作にまつわる様々なデータを集約

 TVerやHuluといった動画配信サービスの普及で、テレビの視聴体験は大きく変貌を遂げた。SNSを賑わす他の視聴者の感想込みで番組を楽しむ視聴者もいるだろう。日本テレビは「総合コンテンツ企業」への進化を目指し、様々なプラットフォームごとに適したコンテンツづくりを推し進めている。

 そうした活動を下支えする存在として「FACTly」を構築した。FACTlyとは、「データを生成する工場(Factory)」と「事実(Fact)で物事を判断する環境」の2つの意味を込めたデータマネジメントプラットフォーム(以下、DMP)。その中には多種多様なデータが蓄積されている。ビデオリサーチが提供する地上波の視聴率レポートはもちろん、動画配信サービスの視聴者属性やコンテンツ・広告の再生数、番組SNSのフォロワー数や話題量、プロモーション動画の再生数、番組の収支も含まれるという。さらに、通販の顧客データといった顧客データプラットフォーム(CDP)機能も併せ持つ。

 これらのデータを基に、同社では番組作りや広告主への提案に活かしている。これまでクリエイターたちの手腕と試行錯誤によって数々のヒット番組を世に送り出してきたが、今後はデータを活かしたコンテンツ制作にも力を入れていきたいと話す。

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出典:「日テレのデータマネジメントプラットフォーム FACTly

 「データでみんなをハッピーにしたい」。そう語るのは、DX推進局 データ戦略部 専門副部長の川越氏だ。

 「FACTlyにデータを集約することで、様々な数値の集計や可視化が自動化できるようになりました。それらのデータを活用し、コンテンツと広告の価値を説明しやすくしたり、地上波の視聴率と見逃し配信の視聴データを一つの画面でチェックできるようにしたりしました。社内からは、コンテンツの客観的な評価が判断しやすくなったと好評です」(川越氏)

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日本テレビ放送網 DX推進局 データ戦略部 専門副部長 川越五郎氏

テレビマンたちが欲する“真のデータ”

 日本テレビが、DMPに本腰を入れたのは、世間的にもその重要性が認知されてきた2018年のこと。当時の日本テレビには、データを横断的に活用できるプラットフォームがなく、サイロ化していた。各部門が必要なデータをシステムからそれぞれ取得してExcelで集計し、メールで共有するといった具合に、現場ではExcelが飛び交うような状況も多く見られた。どれが最新のデータなのか分からなくなることもよくあったという。

 そうした状況を変えるべく、まずは各部門から数名ずつを集め、DMPに関するタスクフォースを始動させた。初回はDMPの必要性を議論することになっていたのだが、ここでテレビマンたちの本音と夢が一気に噴出したという。「TVerで配信したプロモーション動画を見た人が、実際に地上波でその番組を観てくれたのか分かったらいいな」「テレビでHuluのCMを流すとして、それを観た人がHuluに会員登録してくれたのかを知るにはどうすればいいのか?」。スタンドアローンのテレビとネットではデータ連携ができないため、さすがにこれらは依然として夢のままだ。

 しかし、視聴率を基に経験と勘で突き進んでくることが多かったテレビの世界にも、新たな武器が必要であることは明らかだろう。理想に近づくためにも、まずは全社に点在しているデータを一つのプラットフォームに集約する必要性や費用対効果を説き、一大プロジェクトを本格始動させたという。

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FACTlyの利用を促進するために

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この記事の著者

酒井 真弓(サカイ マユミ)

ノンフィクションライター。アイティメディア(株)で情報システム部を経て、エンタープライズIT領域において年間60ほどのイベントを企画。2018年、フリーに転向。現在は記者、広報、イベント企画、マネージャーとして、行政から民間まで幅広く記事執筆、企画運営に奔走している。日本初となるGoogle C...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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