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AIを“意のまま”に セールスフォースが解決率77%の知見を注ぐ「Agentforce 360」

「Dreamforce 2025」現地レポート:最新バージョンで強化された4つの領域

 セールスフォース(Salesforce)が提供する自律型AIエージェントプラットフォーム「Agentforce」が2年目を迎えた。発表以来、顧客数はグローバルで12,000社超と、過去に例のないペースで成長を続けている。同社の年次イベント「Dreamforce 2025」の2日目に行われた、Agentforceに関するキーノートでは、最新バージョン「Agentforce 360」について、多くの強化ポイントが紹介された。本稿では、特に大きく取り上げられた4領域のアップデート内容を解説する。

カスタマーゼロでの学びを反映した「Agentforce 360」

 全社的なAIエージェント活用を目指し、パイロットプロジェクトを立ち上げても、その多くが本番環境に移行できないまま頓挫する。このような調査結果を聞く機会が2025年は多かった。しかし、セールスフォースではDreamforce 2024での発表以来、自らがカスタマーゼロとなり、help.salesforce.comへ導入したAgentforceの改善を続けてきた。2025年10月時点で、AIエージェントとユーザーとの会話数は延べ180万件、解決率は77%、人間のサポートの関与を2%にまで減らすことに成功している。

 この成果を誇らしげに紹介しながらも、「最初から高い成果を得られたわけではない。導入当初、解決率は現在の半分程度だった」と同社 アダム・エヴァンス氏。自社への導入、顧客の導入サポートを通じて得た、経験と学びを継続的に製品に取り入れてきた点を強調する。

アダム・エヴァンス氏(EVP & GM of Salesforce AI, Salesforce)
アダム・エヴァンス氏(EVP & GM of Salesforce AI, Salesforce)

 エヴァンス氏は、AIエージェントがうまく機能するための“テクノロジースタックの構成要素”を複数挙げた。まず、大前提として「LLMが信頼できる」こと。多くの企業は、一貫性のあるデジタル体験の提供に苦心してきた中、AIエージェントでも対話のコンテキストを維持しなくてはならないことを再認識しただろう。そして複雑なタスクを自律的に実行するためには、「推論エンジンを適切に制御する」ことも必要だ。また、AIエージェントの構築だけでなく、その後のテスト、展開、バージョン管理、反復改善までの「ライフサイクル全体をサポートできるツール」も必要になる。その上で、さまざまなチャネルにも接続できなくてはならない。

「Agentforce 360」を構成するテクノロジースタック(出典:セールスフォース)
「Agentforce 360」を構成するテクノロジースタック(出典:セールスフォース)
[画像クリックで拡大]

 こうした多くの要件を満たした、Agentforceの最新バージョンが「Agentforce 360」である。エヴァンス氏によれば、Agentforce 360で強化されたポイントは、大きく以下4つの領域に焦点を当てたものだ。

  1. 制御:組織が求める制御を備えたAIエージェントを構築すること
  2. コンテキスト:適切なデータを取得し、これまでの対話内容に沿ってパーソナライズされた体験を提供すること
  3. 体験:顧客がどのチャネルからアクセスしてきても、一貫性のある体験を提供できること
  4. マネジメント:より優れたパフォーマンスを発揮できるよう可観測性を高め、適切なチューニングを実施し、AIエージェントのライフサイクルを管理できること

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気になる強化ポイント:AIエージェントを制御するための独自スクリプト言語「Agent Script」

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冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...

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