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「9,900万の会員データを圧倒的に使いやすい環境で」NTTドコモがStreamlit活用事例を発表

 Snowflakeは2月22日、NTTドコモと共同で記者説明会を開催。NTTドコモが全社規模で取り組むデータ活用に「Streamlit」を採用し、業務に特化したアプリケーションの開発・運用を開始したことを発表した。

 Snowflake 執行役員 セールスエンジニアリング統括本部長 井口和弘氏は説明会の冒頭、Streamlitについて説明した。Streamlitは、PythonをベースとしたUIライブラリ。「Pythonのソースコードを数行書くだけで、グラフの作成をはじめとしたデータ可視化を簡単に行えるもの」だという。

Snowflake 執行役員 セールスエンジニアリング統括本部長 井口和弘氏

 Streamlitは2022年にSnowflakeが買収しており、その経緯について井口氏は「Snowflakeによってデータのサイロ化が解消されると、お客さまの中でユーザー部門でもデータを加工して分析・活用を行えるようにしたいという要望が出てきました。そこで、UIライブラリーを提供するStreamlitを買収し、この課題に一緒に取り組んでいくことになりました」と説明。

 Snowflakeは、2023年3月より「Streamlit in Snowflake」として、SnowflakeのプラットフォームにStreamlitを組み込んだ形で提供を開始している。井口氏は「Streamlitによって作成できるアプリケーションのユースケースは多岐にわたっており、今後もお客さまのさらなるデータ活用に貢献していきたい」とした。

 続いて、NTTドコモ スマートライフカンパニー データプラットフォーム部長 鈴木敬氏が登壇し、Streamlitを活用している同社の事例を紹介した。

NTTドコモ スマートライフカンパニー データプラットフォーム部長 鈴木敬氏

 鈴木氏はドコモにおけるデータ活用の概要から説明を始めた。同社は約9,900万の「dポイント」会員を抱えており、会員へのサービス提供を通じて、属性やリアル店舗/インターネット上のサービス利用に関する行動データなどを会員データ基盤上で蓄積・管理している。AI技術などを活用し、「あらゆる役割の社員が様々な業務でこうしたIDに紐づく会員データを使いこなすことで、事業価値の向上につなげられる状態を目指す姿に掲げている」と鈴木氏。

 これを実現するため同社では、大きく3つの取り組みに力を入れているという。1つ目は「データ基盤の整備」で、各サービスのデータをIDに紐づけて一元管理することで、様々な事業で横断的にデータを活用できる基盤整備を進めているとした。2つ目が「ナレッジ・プロセスの整備」。データ活用のベストプラクティスを全社のナレッジ・プロセスとして展開しているという。3つ目に「人材育成」を挙げ、データ活用を事業で実践できる人材の育成に向けて、2021年から「ドコモ データクロスキャンプ」というデータ活用人材育成プログラムを立ち上げたとのこと。「現時点で約2,400名の修了生を輩出しており、今後も取り組みを進めていきたい」と鈴木氏は語った。

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 取り組みを進める一方で、課題も挙がっていたと鈴木氏。「事業部門の社員がデータの加工や成形を行うのは難易度が高く、専門家に依頼するとデータ抽出に2週間もかかってしまうといったことが起きていました。このような状況から『圧倒的に使いやすいデータ活用環境』を整えることが課題でした」と語った。

 そのような中で出会ったのがStreamlitであったという。データ部門が慣れ親しんでいたPythonでGUIを作れることや、1つのアプリを再利用することで利用者が増えたことなどから、エンジニアのモチベーションアップにつながったと鈴木氏。さらに、ビジネス部門でも自分たちでデータ分析ができるようになったことで、ビジネス・データ部門の双方で課題が解消されたとした。

 同社のデータプラットフォームのイメージとして、鈴木氏は下記画像を提示。アプリ一覧から利用目的に合ったアプリを選択し、入力画面で項目をポチポチ選択するだけで、マニュアル不要でデータの分析結果をすぐに確認できるという。利用できるアプリは、ドコモの会員データと機械学習を用いてターゲット顧客リストを絞り込めるものや、特定の施設における訪問ユーザーの購買分析を行えるものなど、多岐にわたると説明した。

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 基盤整備の次のステップとして取り組んだのがグループ全体への展開だとし、2つの取り組みを紹介。1つは開発者をビジネス部門にも増やすために人材育成プログラムの中に開発プロセスを組み込むこと、もう1つは全社に認知・拡大していくための社内コンテストだとした。

 1つ目の取り組みでは「現時点で180名ほどの開発者を育成できている」状況だと成果を報告した。2つ目についてはSnowflakeと協力し、ドコモ内でのビジネスコンテストを11月から実施。70件エントリーのあったアイデアを1次審査で24件まで絞り、さらに2月の最終報告で7件を選出する予定だという。

 最後に鈴木氏は今後の展開として「引き続き開発したアプリを様々な事業領域に展開し、ドコモの会員データに支えられた“データアプリのマーケットプレイス”を実現していきたいです」と意気込みを語り、発表を締めくくった。

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竹村 美沙希(編集部)(タケムラ ミサキ)

株式会社翔泳社 EnterpriseZine編集部

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