日本企業におけるデジタルスキルとセキュリティリテラシーの現状
多くの企業は、生産性向上や価値創造のためにテクノロジーを活用しようとしている。テクノロジーを活用するためには、同時にセキュリティへの配慮が必要で、使い手のリテラシー向上も求められる。針生氏はまず、日本企業の状況を伝えるため、ガートナーが行った調査結果を紹介した。
社内で従業員向けITリテラシー教育を担当するのは、IT部門が65.8%と最も多い。次いで人事部門が39%となっているが、注目すべきはDX推進部門が27%となっている点だ。針生氏は、「テクノロジーが単なる教育の対象から、会社のビジネスの中核として捉えられ始めていることを示しています。セキュリティについても、IT部門のみならず人事やDX部門との連携が必要になっています」と説明した。
DXの企業への貢献度に関する調査結果を見ると、2023年度は比較的低い評価が多かったものの、2024年度には高い評価が増加した。とはいえ、70%以上は「DXは企業に貢献できている」と感じていない。針生氏は、この状況の主な要因はデジタルリテラシーの低さであるとし、今後はこの点に重点的に取り組んでいく必要があると述べた。
また、従業員に必要なデジタルスキルの1位はセキュリティで、76.4%を占める。セキュリティ以外の項目は変化が激しく、最近ではデータ分析やAIの重要性が急速に高まっている。また、多くの企業がITリテラシー教育に取り組んでいるものの、その満足度の調査において「満足していない」と感じている人がほぼ半数であった。
針生氏は調査結果を振り返り、「セキュリティの意識を高めるためにはITリテラシーが重要で、ITやDXの担当者が教育を進める必要があります。現状では成果の測定が十分でなく、これを改善していくことが今後の課題です」とまとめた。