世界中の軍事組織がシステムのモダナイゼーションに遅れ──共同システムとサプライチェーンの連携がカギに
防衛・航空宇宙産業から厚い信頼を得るIFS、その理由とは? 日本市場での課題と展望も明かす

米国海軍をはじめ、世界中の軍事組織や防衛機関、さらには防衛・航空宇宙産業の企業にてソリューションが導入されているIFS。高い信頼を集める理由とは何か。現在、ロシアによるウクライナ侵攻や、イスラエル・ハマス紛争による中東情勢の不安定化、さらには台湾海峡での中国による圧力など、世界中の地政学的緊張が高まっており、各国が防衛力の強化を急いでいる。その中で、ITシステムにおける課題が顕在化しているようだ。その全容を、IFSで航空・防衛事業部のプレジデントを務めるスコット・J・ヘルマー氏に伺った。
主要顧客に米国海軍、なぜIFSが防衛・航空宇宙産業で高いシェアを誇るのか
防衛産業や航空・宇宙産業において高いシェア率を誇るIFS。その理由についてヘルマー氏は、「ERP、EAM、FSMを標準化して幅広い業界に提供している他社に比べ、IFSは闇雲に対象を広げるのではなく、特定の業界のニーズに特化した機能を設計・開発することを重視しているため」だと説明した。
IFSのソフトウェアは、複雑で厳格な要求にも対応できる構成をカスタマイズすることが可能で、柔軟性に富んだプラットフォームを提供しているとヘルマー氏。同社の防衛・航空宇宙向けソリューションは、民間企業と政府機関の両方に対し提供されている。「他社では、領域や対象の異なる製品を個別に扱う場合が多いが、IFSは両者のシナジーを重視しているため最初からカテゴリ分けをせず、複雑な資産のライフサイクル管理に最適な機能を提供している」と独自性をアピールした。
代表的なユーザーとして挙げられているのが、米国海軍(United States Navy)だ。ヘルマー氏は、「防衛に関する複雑な要件は多くの場合、米国から始まる」と話す。IFSは、米国海軍向けに最適化されたソリューションを提供しており、それを応用して他国の防衛機関にも対応可能な形にしている。各国軍の要件にわずかな違いがあった場合でも、プラットフォームの機能の深さを活かして特定のニーズに適応するのだという。
「IFSの機能は、製造、運用、保守、サポートといった、兵器のライフサイクル全体を支援するように設計されています。このアプローチにより、軍事組織や防衛産業の製造業をはじめ、陸・海・空軍、さらには整備や調達を担うメンテナンス組織など、それぞれの分野に特化した差別化された機能を提供できるのです」(ヘルマー氏)
ヘルマー氏は、これまで世界中の多くの軍事組織が、大手ソフトウェアプロバイダーが提供する標準化されたソリューションを導入し、拡張していこうと試みてきたが、その多くが成功していない点を指摘する。独自のカスタマイズによる対応を行った例もあるというが、それによってプログラムのライフサイクル管理が複雑化してしまい、維持費用の高騰や最新性の欠如を招いてしまったそうだ。結果として、そうした組織では十分なパフォーマンスと成果が得られずにいる。
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森 英信(モリ ヒデノブ)
就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務とWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業した。編集プロダクション業務では、日本語と英語でのテック関連事例や海外スタートアップのインタビュー、イベントレポートなどの企画・取材・執筆・...
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名須川 楓太(編集部)(ナスカワ フウタ)
サイバーセキュリティ、AI、データ関連技術やルールメイキング動向のほか、それらを活用した業務・ビジネスモデル変革に携わる方に向けた情報を発信します。
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