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日本でも1,500社以上が利用する新感覚の検索「Perplexity」とは?──法人戦略をCBOに訊く

AIチャットボットではなく「回答エンジン」と名乗る

 ソフトバンクとの提携により日本で存在感を増しているAIスタートアップ「Perplexity(パープレキシティ)」。同社で最高ビジネス責任者(CBO)を務めるドミトリー・シェヴェレンコ(Dmitry Shevelenko)氏は、PerplexityをAIチャットボットではなく「回答エンジン」と形容する。Perplexityの目指すものは一体何なのか。さらに、法人向けではリスク懸念にどのように対応するのか──シェヴェレンコ氏に伺った。

ユーザーがプロンプトに長けている必要はない

──「Perplexity」とはどういったサービスなのでしょうか。

 Perplexityは“回答エンジン”です。AIなど複数の技術を組み合わせて、ユーザーが質問をすると、関連する高品質の情報をオンラインから取得して、合成して要約します。これらを瞬時に行います。これまでの検索エンジンとは異なり、連続しているので、ユーザーは会話を続けながら情報を絞り込んでいくことができます。

──PerplexityはAIスタートアップの1社ですが、「ChatGPT」などの生成AIチャットボットとの違いについて教えてください。

 「AI」と聞くと尻込みしてしまう人もいるかもしれません。我々はAIを、個人ユーザーと企業ユーザーの両方にとって手軽なものにしたいと思っています。そこで、PerplexityをAIという位置付けではなく、「回答エンジン」と説明しています。ユーザーがプロンプト作成に長けている必要はありません。そこを支援するのは我々技術企業の仕事です。

 具体的には、Perplexityは質問に回答する仕組みに注力しており、それを日々改善しています。これが、生成AIチャットボットがたくさんある中でPerplexityが高いリテンション率を誇り、満足度も高いという結果につながっています。

 我々の特徴の1つが情報源の透明性です。我々は回答を表示する際に、その情報をどこで得たのかを合わせて表示しています。

 もう1つの特徴として、Perplexityはユーザーの質問に対する回答の下に関連する質問を表示します。多くの場合で、ユーザーが最初に入力する質問は完全ではない。関連する質問を提示することで、学びたい、知りたいと思ってPerplexityを使うユーザーに、もっと掘り下げたり、大きな枠組みから捉えたりすることができるように支援します。

 実際に、質問の45%は1回で終わらずにフォローアップの質問をしています。得たいと思っている答えを得るために、ユーザーが複数段階のステップを踏んでいることになります。

──Perplexityの技術的な特徴はどこにあるのでしょうか?

 ユーザーの質問に答えるために全体のシステムを最適化している点です。これを我々は「オーケストレーション」と称しており、ユーザーが質問してから回答を得るまでのすべてのステップで最適化を図っています。

 具体的に、ユーザーが最初に質問をすると、その質問を小規模言語モデルを使って30種類のバージョンに再定式化します。そのすべてをPerplexityの検索インデックスにかけますが、この検索インデックスは高品質なソースのみを抽出するようにカスタマイズされています。次に、検索ステップのランキングシステムで大規模言語モデルを使いますが、ここでも最適化を利用することで回答をすぐに表示しています。回答を簡潔にして、ユーザーが次の質問ができるように引用を明瞭にします。

 このように、Perplexityのマジックの秘密は、ユーザーに答えを提供するというタスクのためにこれらのステップをすべて最適化されているところにあります。

法人ビジネスも好調、外部データソースの統合も進める

──ビジネスユーザーの利用は進んでいるのでしょうか? 法人市場における現状や事例を教えてください。

 我々は法人向けのプランとして「Perplexity Enterprise Pro」を提供しています。

 組織にとって最も貴重な資源は、従業員の時間です。そこで、最もベーシックなこととして、我々はナレッジワーカーの時間を節約することに貢献できます。さらに、ナレッジワーカーが知りたいことや課題に対し、Peplexityは効率よく関連する情報を探したり、解決につながる糸口を示したりします。そこから実行に移すことができるのです。

 事例は様々あります。たとえばこのインタビューの前に私はEnterpriseZineについてPerplexityでリサーチをしました。ジャーナリストであるあなたは、Perplexityを使って私について調べることも、インタビューの質問を考えることもできるでしょう。インターネットにある公開情報からの情報を取り込み、AIが推論をしながら良い答えを見出すことができます。

 これは、開発者、マーケター、営業などあらゆる職種に適用できます。開発者ならコーディングで行き詰まっている時に、Perplexityを利用して効率よく解決を探ることができるでしょう。マーケターが過去のキャンペーンを調べたり、営業担当が売り込み先を調べたりすることなどに使うことができます。

──法人向けの機能として、どのような機能を計画していますか?

 「Perplexity Pages」を導入しました。Perplexityを利用して情報を収集してリッチなページを作り、それを共有できる機能です。社内のWiki、ナレッジ共有などの用途が考えられます。

 数ヵ月内に、法人ユーザー向けに、社内にある文書や情報のインデックスをキュレーションする機能を提供する予定です。

 外部のデータソースの統合も進めていきます。まだ詳細を伝えることはできませんが、たとえばBloomberg Terminalのように、加入しているユーザーが質問をするとWeb、社内、そして外部のプレミアムコンテンツから最も関連する情報を取り出します。アクセスする情報をすべて網羅して回答を表示できるため、ナレッジワーカーにとってゲームチェンジャーになるでしょう。

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日本は2番目に法人向けサービスの成長が速い市場

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この記事の著者

末岡 洋子(スエオカ ヨウコ)

フリーランスライター。二児の母。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

小山 奨太(編集部)(コヤマ ショウタ)

EnterpriseZine編集部所属。製造小売業の情報システム部門で運用保守、DX推進などを経験。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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