2024年9月27日に弁護士ドットコム主催で「Gen AI EXPO 2024」が開催された。OpenAI Japanの長﨑社長、PKSHA Technology上野山社長、弁護士ドットコムの元榮CEOを始め、生成AIのキーパーソンが登壇した。
冒頭のセッションの上野山氏と元榮氏による対談では、AIの社会実装の現状と近未来の展望についての議論が展開された。上野山氏はPKSHA TechnologyのAI SaaS事業について説明し、約6000体のAIが様々な企業で稼働している現状を紹介。特にコンタクトセンター業務での活用例を挙げ、全体の30〜40%の業務をAIが担うことで人間のオペレーターがより複雑な対応に集中できるようになっていると述べた。
一方、元榮氏は法律分野でのAI活用について語り、弁護士ドットコムが開発した法律特化型LLM「リーガルブレイン」を紹介。20年間で蓄積した正確性の高いリーガルデータを活用し、一般ユーザーが気軽に法律相談ができる環境を整えつつあると説明した。
両氏は、AIの進化が人間とのコミュニケーションの在り方を大きく変え、新たな価値創造の可能性をもたらすと強調。上野山氏は「AIは人間の可能性を開くものとしてデザインされるべき」と述べ、元榮氏は「今はまさに誰もが同じスタートラインに立っている状況」と指摘し、AIへの積極的な関与を促した。
続いてOpenAI Japanの代表執行役社長である長﨑忠雄氏が講演を行い、日本におけるOpenAIの役割とミッションについて語った。
OpenAIは2015年の設立以来、人類全体に利益をもたらす汎用人工知能(AGI)の開発を使命として活動してきた。2024年4月には、日本法人が設立され、長﨑氏が社長に就任した。これは、英語圏以外への初の進出であり、日本のAI普及においても重要な意味を持つ。
長﨑氏は、AIが社会に実装されていくことで、人類がよりよい世界で利益を得られるようにすることが重要だと強調した。AIモデルの開発だけでなく、APIサービスやSaaSソリューションの提供も行っていることを強調。特に、ChatGPTの週間アクティブユーザーが2億人を突破するなど、急速な成長を遂げていることを紹介した。
日本企業のAI活用に関して、長﨑氏は個人レベルから企業レベルへのAI活用拡大、業務プロセスの自動化と効率化、AI搭載製品・サービスの開発による競争力強化などの展望を示した。同時に、データセキュリティとプライバシー保護、AI倫理とガバナンスの確立、AI人材の育成と確保といった課題にも言及した。
さらに最近のサービスのラインナップと国内外の事例を詳しく紹介した。
同イベントでは、エヌビディアやアリババクラウド・ジャパンなど多数のスピーカーの講演が行われた。
イベントの内容は、10月17日(木)からオンラインでも視聴可能となる。