台風の影響を考慮し、全プログラムがオンライン実施に
日本では「温泉系シンポジウム」と呼ばれる、サイバーセキュリティのシンポジウムが毎年開催されている。現在は南紀白浜、越後湯沢、道後、九州、そして熱海で開催されており、いずれのシンポジウムもチケットがたちまち売り切れてしまうほどの好評ぶりだ。
海外でもセキュリティシンポジウムの多くは有名な観光地で行われており、親睦を深められる点も魅力となっている。日本の場合は、それが温泉ということなのかもしれない。また、日本のセキュリティシンポジウムは後援団体などの違いにより特色がある。サイバー防衛シンポジウム熱海は防衛省が後援しており、国防や国家安全保障といった視点での講演が多い。
また、シンポジウムのエンブレムには「5B」と記されている。これは「5th Battlefield」の意味で、サイバー空間が陸、海、空、宇宙に次ぐ「第5の戦場」とされていることに由来するものだ。なお、5回目の開催となる今回のテーマは「Are You Ready?~日本のサイバー防衛の転機~」と題されている。
開催期間は2024年8月31日から9月1日であったが、台風10号の影響によって前日の朝には熱海市内全域に避難指示が発せられ、新幹線や在来線の運休も発表された。そのため、8月30日には現地開催が中止に。その代わり、プログラムを変更しつつオンラインで実施されることになり、筆者も配信現場で取材できることとなった。
配信会場に着くとリハーサルが行われており、“配信部隊”が忙しく走り回っていた。多くの配信を手がけている、まっちゃだいふく氏は「元々配信する講演もあったため、大きな負担はないです」とも話してくれた。もっとも、すべて配信となると必要な検証も多くなるのであろう。なお、2日前に現地入りしていた実行委員長を務める畠山浩明氏からは「私たちはそれほどの影響はなかったのですが、協賛企業などは事前に展示用の機材などを現地に送っていたため、その返送作業などでご迷惑をおかけしたと思います」と心配する声も聞かれた。