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SCSKのリーダーが語るデジタルオファリングの未来

今なお続く建設業界の「2024年問題」―業界エキスパートとして人手不足と効率化に挑む

 建設業界では、人手不足や高齢化、2024年問題による残業規制の影響が深刻化しており、業務効率化と標準化が求められている。SCSKは、建設工事業向けの基幹業務システム「PImacs」を提供し、標準化と柔軟なカスタマイズを両立するソリューションで業界の課題に対応してきた。現在、クラウドERP「ProActive」との統合を進めており、AIやデータ分析機能を活用したさらなる効率化を目指す。SCSKの永井氏は、多様な業態を持つ建設業界におけるシステム導入のポイントと今後の展望について語った。

建設業界向けシステムの進化と共に歩む

SCSK株式会社 ProActive事業本部 DevOps部 副部長 兼 atWillコンサルティング部 PImacsコンサルティング課 課長 永井智一氏
SCSK株式会社 ProActive事業本部 DevOps部 副部長 兼 atWillコンサルティング部 PImacsコンサルティング課 課長 永井智一氏

──これまでのご経歴と現在のご担当領域についてお聞かせください。

永井氏:2001年に入社して以来、私は一貫して建設業向けシステムの開発に携わってまいりました。実は、建設工事業向けの基幹業務システム「PImacs」は私の入社年に誕生して以来、業界の変化とともに成長を続けています。私自身、このシステムが業界に広く認知されていく過程を見守り、その進化にも関わってきました。

 現在、私はPImacsと、それに機能を追加できるローコード開発基盤「atWill Platform」のコンサルティング部門を担当するほか、SCSKが提供するクラウドERP「ProActive」の開発部隊であるDevOpsの業務も兼務しています。現在、PImacsとProActiveの統合を進めており、そのプロジェクトの中心的な役割も担っています。

──PImacsは、注文住宅、リフォーム、分譲など、業態ごとのパッケージを展開されています。このプロダクトが生まれた背景とその成長についてお教えください。

永井氏:PImacsが誕生した当初、建設業界には標準的な業務フローをカバーするシステムがなく、各企業が独自のやり方で業務に対応していました。そのため、当時パッケージシステムとして市場に提供されたPImacsは、多くの企業にとって業務の一貫性と効率化をもたらすツールとなりました。

 建設業には、一戸建て住宅を扱うハウスメーカー、リフォーム事業、分譲事業、専門工事など様々な分野があります。また、一般消費者を対象とするBtoC業者と、ゼネコンのプロジェクトで専門工事を担うBtoB業者が存在し、それぞれ独自の課題を抱えています。当社はこうした多様なニーズに応えるため、業種ごとの特性に合わせたパッケージを展開してきました。

 当初はハウスメーカー向けのパッケージからスタートしましたが、導入が進むにつれ、分譲業やリフォーム業など業種ごとに異なる業務フローに対応するため、PImacsシリーズとして拡張していきました。特に2000年代後半にはリフォーム市場が急成長したため、小規模な工事を効率的に管理できるリフォーム事業者向けのPImacsも開発しました。リフォーム業界では、工事の規模が比較的小さいため、件数を増やすことが重要であり、営業力の強化が求められます。このため、リフォーム業界向けのPImacsにはSFA(営業支援システム)の機能を拡充しています。

 なかには、新築、リフォーム、分譲事業まで幅広く手がける建設業者もあり、当社は標準的なパッケージを基盤に、それぞれのニーズに合わせた機能を組み合わせて最適なソリューションを提案しています。たとえば、BtoCのリフォームや戸建てとBtoBの企業取引では顧客からの請求時期や入金のタイミングが異なります。このような業態ごとの特性を把握した上で、最適な提案を行っています。

次のページ
建設業界の人手不足と効率化の解決の道は

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務とWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業した。編集プロダクション業務では、日本語と英語でのテック関連事例や海外スタートアップのインタビュー、イベントレポートなどの企画・取材・執筆・...

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