2024年11月11日、ガートナージャパン(以下、Gartner)は「日本におけるITオペレーションのハイプ・サイクル:2024年」を発表した。
同ハイプサイクルでは、新たな項目としてプラットフォーム・エンジニアリングを追加。また、サイト・リライアビリティ・エンジニアリング、可観測性(オブザーバビリティ)、インフラ自動化、AIOps(AI for IT Operations)プラットフォーム、DEM(デジタル・エクスペリエンス監視)を「過度な期待」のピーク期に位置付けている。
可観測性(オブザーバビリティ)
オブザーバビリティとは、出力データやメトリクスを基にソフトウェアやシステムの内部状態を理解し、その挙動と事象、結果を説明可能にするためのソフトウェアやシステムの特性を指す。同社は、多量のコンテナやKubernetes環境、複雑なマルチクラウド環境を時流に則した形でモニタリングし、必要なアクションをスマートに実践するためには、オブザーバビリティの考え方とアプローチが不可欠だと述べる。2024年現在、日本は英語圏と比較するとまだ初期のステージにあるが、オブザーバビリティ採用の具体的な事例も増えつつあるとした。
インフラ自動化
インフラ自動化は、オンプレミスやクラウド環境、またはそれらをまたいで自動的な(インフラによる)サービスデリバリを実現するテクノロジー。インフラ自動化によって、DevOpsチームとI&Oチームは、インフラサービスの作成・構成・運用・廃止までのライフサイクルを管理できるという。主にデータセンターやクラウドで利用され、インフラの展開・管理スピードやその品質などを改善し、インフラ利用者が必要時に必要なものを使えるようにするとのことだ。
プラットフォーム・エンジニアリング
プラットフォーム・エンジニアリングは、ソフトウェアのデリバリとライフサイクル管理を実現するセルフサービス型の社内開発者プラットフォーム(IDP)を構築・運用するための一連の考え方やアプローチ。同社は、従来型のI&Oチームの構造や手法のままでは、ビジネス状況の変化のスピードに即応できないとし、I&Oリーダーは、アジャイルなインフラストラクチャ・プラットフォームをサービスとして提供するために、これまでの運用・開発分離のアプローチや展開手法の再考を迫られていると説明した。
プラットフォーム・エンジニアリングにより、アプリケーションチームやインフラチームがソフトウェアの価値をより迅速に提供できるようになることが期待されるという。結果、基盤となるインフラストラクチャの構築とメンテナンスの負担が軽減され、顧客価値実現と学習に時間を費やすチームの能力が向上するとのことだ。また、IDPを使用すると、コンプライアンスと管理の一貫性が高まり、ソフトウェアの提供に使用されるツールの無秩序な増加が抑えられるという。
なお、同ハイプサイクルで取り上げたテクノロジーやメソドロジーの3割は、成熟するまでに5〜10年以上かかる見込みとのことだ。
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