2024年11月12日、Zuora Japanはイベント「Subscribed Live Tokyo」開催にともない、記者説明会を開催した。
同社 代表取締役社長 桑野順一郎氏が登壇すると「日本法人は、非常に順調に推移している」と強調。この1年間で新聞社や出版社といったメディア業界をはじめ、総合電機メーカーや自動車などの製造業、SaaS企業、ISP企業での導入が増えているとする。
また、Zuora CEO Tien Tzuo氏が登壇すると、「既に『サブスクリプションビジネス』を採用している企業は多く、顧客はより多くの選択肢を求めるようになった。もはや、従来のサブスクリプションでは不十分だ」と指摘した。特に生成AIブームにより、収益化の方法に試行錯誤している企業が増えている状況でもあるとする。
そうした状況下、「レベニューモデル」「パッケージング」「プライシング」の組み合わせから、最適な収益化モデルを導き出そうとしている企業は少なくないが、それだけでは十分ではないという。「だからこそ、『Total Monetization』(トータル・マネタイゼーション)が必要だ」とTzuo氏。顧客ニーズが常に変化している中では、継続的な収益を上げるために顧客の選択肢を増やし、収益モデルを進化させ続けなければならないと強調する。
これを実現するため同社では「The Zuora Monetization Suite」をはじめ、2024年4月30日に買収が発表された「Togai」を日本国内でも提供すると発表。加えて、日本で新たなデータセンターを稼働させることも公表した。
Togaiは、既存ソリューションなしで導入することができる、従量課金モデルの導入・最適化を図るためのアプリケーション。Zuora Japan 執行役員 Solution Consulting部門担当 谷内輝男氏は「従量課金をはじめるとき、自社開発でもマニュアル作業でも膨大な工数やコストが発生してしまう」と述べると、これらの課題をTogaiで解消できると説明する。
Togaiには、接続先となるアプリケーションのコネクタが複数用意されており、数クリックで連携が可能。ボリュームディスカウントや定額料金といった課金体系の設定はもちろん、ユーザーごとに設定を容易に紐づけられるという。連携したデータをTogai上で可視化することができ、たとえば「一定期間ディスカウントすべきか、一定利用量ディスカウントすべきか」などを比較検討することに役立てられるとする。
実際にZuoraを導入している、ビッグローブ 取締役執行役員常務 高宮展樹氏が登壇すると、「効率的に運営できる基幹系システムへの刷新が鍵だと考えており、サブスクリプションビジネスの強化を図っている」と説明。インフラレイヤーにおいては、クラウドファースト戦略の下でオンプレミス環境を撤廃してクラウドへと移行しており、現在基幹系アプリケーションの統合プラットフォームへの刷新を進めているという。
特に課金・請求システムは、35年にわたって複雑化してきた料金モデルによりサイロ化しており、手作業が残っているために運用コストの高止まり、知見のあるエンジニアの高齢化といった課題に直面。そこで、サブスクリプションモデル全体を管理するためにZuoraを導入したとする。
「複雑な料金モデルを容易に管理できるだけでなく、CRMやERPなどと統合することも容易になった。また、運用業務からエンジニアを解放でき、価値創出に注力できるようになっている」(高宮氏)
なお、ビッグローブは、先述した日本国内で稼働する新規データセンターの国内第1号ユーザーとのことだ。