1月27日に行われた会見では、最初にSnowflake 執行役員 セールスエンジニアリング統括本部長の井口和弘氏がSnowflakeの概要について説明した。同社の製品は、クラウドベースのデータプラットフォームとして「様々なデータを格納し、データサイロを解消しつつ、最適なコストパフォーマンスを実現する」という。井口氏は、「データウェアハウス、データレイク、データメッシュなど、様々なデータアーキテクチャに対応しており、構造化データ、非構造化データ、半構造化データといったようなデータフォーマットにも対応している」とSnowflakeの柔軟性を強調した。
CCCMKホールディングスは、TSUTAYAをベースとしたライフスタイルプラットフォーム事業、出版事業、図書館運営など多岐にわたる事業を展開している中で、Vポイント事業を提供している。CCCMKホールディングスのIT戦略本部本部長の松井太郎氏は「昨年4月にSMBCとの協業により、旧VポイントとTポイントを統合し、新たなVポイントとして進化を遂げた」と説明した。統合により、Vポイントの会員基盤は8600万人に達し、日本最大級のポイントサービスとなったという。松井氏は、「単純にポイントデータだけではなく、様々な生活属性や購買データ、アンケートデータなどを活用し、顧客理解を深めている」と述べた。
松井氏は今回のSnowflake導入の背景として、CCCMKホールディングスでは、データ活用を推進する中で、以下の3つの課題に直面していたことを挙げた。
- データベースの分散化によるコスト増大とパフォーマンスの問題:「より規模の大きいリザーブド契約が必要であり、将来的に分析基盤が事業負担になる」ことが予想された。
- データ活用高度化によるワークロード増:加盟企業の増加や分析業務の高度化により、ワークロードは年々増加し、月初や繁忙期にはクエリ遅延やクエリ待機が発生するなど業務にも支障が出る状態だった。
- データ活用の民主化促進:非エンジニア、非アナリストを含めた全社員にBIアカウントを提供していたが、負荷対策のため、データベースからファイル抽出し、BIに連携する中間作業が発生していた。軽量なクエリにも対応可能な拡張性のある基盤を構築することでデータの民主化を加速させる必要があった。
これらの課題を解決するために、同社は分析基盤をOracleからSnowflakeに移行した。オンプレミスの基幹データベースのOracle Exadataや分析基盤のVerticaを、クラウドにリフトしてAzure上のSynapse Analyticsと連携、さらにSnowflakeへとシフトさせた。松井氏は、この移行プロジェクトについて、「Oracleからの移行は数年かかり、つい先日完了した」と述べた。
データ分析基盤にもたらした効果は多岐にわたると松井氏は言う。まず、パフォーマンス面では劇的な改善が見られ、データクエリの応答時間が半分以下になった。特に、従来は月初の繁忙期に発生していたクエリの遅延が解消された点は大きいと語る。
BIツールとの連携も強化され、SnowflakeとTableauを連携させることで、BIツールのパフォーマンスが向上し、迅速な意思決定に貢献できるようになった。コスト面では、複数のデータベースをSnowflakeに統合したことで、インフラコストとエンジニアコストを60%以下に削減できた。さらに、Snowflakeの堅牢なセキュリティ機能により、プライバシー保護も強化された。「顧客のプライバシーは、我々にとって最優先事項の一つだ。Snowflakeのセキュリティ機能は、顧客データを安全に保護するために不可欠な要素となっている」と松井氏は強調した。