「Apple Vision Pro」をサポート CPQにもソリューション拡大へ
では、「ジェネレーティブ・エコノミー」時代の製造業をどのように支援していくのか。
設計から生産、サプライチェーン、運用と幅広くカバーするSOLIDWORKSを「究極のソリューション」とするSOLIDWORKS CEOのマニッシュ・クマール(Manish Kumar)氏は、「xDesign」「Simulation Designer」など14種類に及ぶ製品を“簡素化した形”で利用できると話す。

下図のように3D UNIV+RSESには「バーチャルツイン」「エクスペリエンス」「ジェネレーティブ・エクスペリエンス」「バーチャル・コンパニオン」「ライフサイクル」「センス・コンピューティング」「ナレッジとノウハウのプラットフォーム」という7つの柱があり、これらをSOLIDWORKSで活用できるという。

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「これらの技術が成熟し、産業レベルに到達しつつある」とバッシ氏。イベント会期中、「Apple Vision Pro」向けのアプリケーションを今夏提供することを発表したが、これがセンス・コンピューティングの一部になるという。手や目、声などを使ってSOLIDWORKSを操作でき、「まったく新しい方法で仕事ができるようになる」と述べた。


また、イベントでは先述のAURAに加えて、AIを組み込んだCPQ(Configure/Price/Quote)としての機能をもつ「SOLIDWORKS CPQ」も発表された。
実際には現場業務がどのように変化するのか。クマール氏は、倉庫機器メーカーがSOLIDWORKSと3D EXPERIENCEプラットフォームを利用し、製造ラインを有する顧客企業とやりとりするデモを見せてくれた。

まず顧客企業から倉庫機器メーカーにチャット形式で要望を伝えると、AIが最初のプロトタイプを自動作成。そこからバーチャルツインを利用した軽量モデルを構築し、顧客は自社の製造ラインにおいてシミュレーションやテスト、改善を進められるという。ボトルネックを特定したり、最適な材料を見出したりといった工程へとスピーディーに移ることができる。
また営業担当は、すぐにバーチャルツインを参照して顧客ニーズを理解し、さらなる提案を行うこともできるという。「受注設計(Engineer-to-Order)アプローチを実現できる。これにより高い柔軟性が得られ、カスタマイズ性を持った製品を提供可能だ」とクマール氏。メカニカルエンジニアによる設計プロセスでも、システムが自動設計することで、材料選びやコストといった顧客要件にあわせた改善も容易になる。
その後、顧客と一緒にVR環境で最終レビューを行い、製造へ。製造プロセスでもバーチャルコンパニオンを用いることで営業担当がタスクを自動化し、素材やプロセスのプランや指示書を作成。バーチャルコンパニオンは動的にワークロードを調整してくれ、スケジュールを更新し、それらの情報を関係者に通知してくれるという。


納品後にはバーチャルツインを使った予測メンテナンスにより、故障が発生する前に問題を検出することも可能だ。AURAなどのバーチャルコンパニオンにより、「自社の知的財産であるナレッジやノウハウを安全な形で活用できる」とクマール氏は強調する。
このように3D UNIV+RSESにより、SOLIDWORKSは新しい時代を迎えるとしてクマール氏は「我々はSOLIDWORKSブランドを拡大する。デザイン、プロダクション、サプライチェーン、オペレーション、さらにその先までSOLIDWORKSを利用して製造業を合理化・最適化していく」と続けた。
なおAURAは現在ベータ段階で、2025年7月に3D EXPERIENCEプラットフォームの全ユーザー向けに提供を開始する予定だ。またCPQも今夏の提供を予定している。