アイスクリーム、ロボット、ジムマシン……恒例の展示も
3DEXPERIENCE World名物のプレイグラウンド(展示会場)では、同社のユーザーによる展示物を見ることができた。
常に人だかりができていたのは、アイスクリーム製造マシンのColdSnap。コーヒーマシンを使うような感覚で、缶ジュースサイズの“ポッド”(常温)を入れるだけで冷たいアイスクリームやスムージーが作れるというものだ。一般的に材料を揃えたり、温度管理が面倒だったりするアイスクリーム作りだが、「簡単にアイスクリームを作る機械があれば」という子供のような発想から起業に至った、というのは創業者のマシュー・フォンテ(Matthew Fonte)氏。牛乳や生クリームなどの材料をポッドに入れて、急速冷凍機能を備えたマシンに入れるだけで完成する。このポッドは約16種類あり、それぞれアイスクリームやフローズンなど、種別ごとに付与されたQRコードを読み取ることで適切な方法で調理してくれるという。

このアイスクリームマシンは、すべてSOLIDWORKSを使って設計されている。フォンテ氏あ、製品が正確に設計される点が重要だったと振り返る。既に米国では市販されており、価格は2,000ドルほどだ(本体のみ、ポッド除く)。

自由に腕を動かすことのできるトレーニング機器を展示していたのがProteus Motion。アスリート向けと理学療法向け、2つを主な用途としている。たとえば投手がボールを投げる動き、ゴルフのスイングといったウェイトトレーニングでは再現できない、複雑な動きを再現して鍛えることができるという。

毎秒1,000のデータポイントで動きを追跡しており、3D空間で位置、速度、パワーを測定。「こうしたことはフリーウェイトやケーブルマシンでは不可能だ」と同社 ハードウェア担当ディレクターのポール・ヴィジオ(Paul Vissio)氏。このマシンにもSOLIDWORKSと3D EXPERIENCEプラットフォームが使われており、有限要素解析のシミュレーションも行ったという。当初は無料バージョンの別のCADツールを使っていたが、資金調達に成功したためSOLIDWORKSを購入することに。当時はコロナ禍で、ロックダウンにより自宅での作業を強いられていた状況だったという。「ITもサーバーもない状態、しかもリモートでデザインしなければならなかった。そこでクラウドで利用できる3D EXPERIENCEプラットフォーム上のSOLIDWORKSを利用することにした。クラウド上でPLMを使うことができ、データ管理ができる。まさに理想的なソリューションだった」とヴィジオ氏は説明する。
なお、今年のイベントでは「ロボット」が特にフィーチャーされていた。基調講演や会場には、Boston Dynamicsの「SPOT」が登場。原発廃炉作業、ハリケーンでの救出などで活躍しているとのことだ。

他にも30周年を記念して、30年前(1995年)にリリースされた、SOLIDWORKSの初期バージョンを触ることができるエリアもあった。クマール氏によると、モデル作成を比較してみると30分かかっていた作業が、最新版では90秒で終わったという。
