「男性ばかりで参入しづらい」セキュリティ業界を変えていく──女性特有の苦悩に立ち向かうランナーたち
後編:活躍することと、スーパーウーマンに“見えない”ようにすることの両立

2025年2月21日に開催された「NICTサイバーセキュリティシンポジウム2025」にて、セキュリティの世界で仕事をしている女性「セキュジョ」6人が、女性のキャリアについてパネルディスカッションをした。後編のテーマは、女性が避けて通れない仕事とプライベートの両立、今後のセキュリティ業界との関わり方など。セキュリティへの好奇心や情熱があれば、誰でも関われる世界であることが伝わってくる。
育児からの復帰、仕事とプライベート両立における苦悩
登壇者
- 株式会社 incri 執行役員 兼 株式会社 andwee 執行役員CSO 兼 SOMPOホールディングス株式会社 デジタル・データ戦略部 兼 SOMPO Light Vortex株式会社 シニアビジネスクリエイター 佐久間萌里佳氏(ニックネーム:もりもり)
- 株式会社BLUE 代表取締役 篠田佳奈氏(ニックネーム:かなりん)
- 株式会社日立ソリューションズ セキュリティアナリスト 青山桃子氏(ニックネーム:ももレンジャー)
- PwCコンサルティング合同会社 マネージャー 愛甲日路親氏(ニックネーム:アリス)
- 国立研究開発法人情報通信研究機構 サイバーセキュリティ研究所 サイバーセキュリティ研究室 専門研究技術員 鈴木悠氏(ニックネーム:きゃっふぃー)
- 国立研究開発法人情報通信研究機構 サイバーセキュリティ研究所 サイバーセキュリティ研究室 主任研究員 長谷川彩子氏(ニックネーム:はせこ)
- 国立研究開発法人情報通信研究機構 サイバーセキュリティ研究所 ナショナルサイバートレーニングセンター サイバートレーニング事業推進室 野村千尋氏(ニックネーム:のむ)
前編はこちら
佐久間萌里佳氏(以下、もりもり):次のテーマは、仕事とプライベートとの両立です。ご家族や趣味など、いろいろなプライベートがあるかと思いますので、ぜひ幅広くお聞かせください。
野村千尋氏(以下、のむ):私の仕事は、明確に繁忙期があります。その時は仕事とプライベートの比率が8:2程になるので、プライベートを節制する必要があります。プライベートは、結婚はしているけれど子どもはいない、いわゆる「DINKS」です。セキュリティ業界はリモートワークやフレックス勤務があるので、繁忙期は忙しいですが、それ以外なら仕事とプライベートが両立できるような働きやすい環境だなと思います。

長谷川彩子氏(以下、はせこ):私は現在0歳の乳児を育てており、今日もミルクを飲ませてはギャン泣きされて、早朝に暴れている姿を見守るなど、本当にてんやわんやの毎日です。仕事とプライベートの両立は上手にできてないのが正直なところで、2つ悩んだ話をします。
まず、「ライフイベントをいつ・どのように迎えるか」非常に悩みました。結果的に私は、ある程度キャリアを積んでから出産しました。理想はもっと早いうちに出産したかったのですが、正解はないので自分が決めた道を歩むほかありません。
もう1つの悩みは、「出産育児後にいつ復職するか」です。時期にはメリットもデメリットもありますが、私は産後3ヵ月で保育園に子どもを預けて復職したので、世間的には早いほうだと思います。これも正解はないので、皆さんが思う方法で進めるべきです。
ただ、育休明けのフルタイム復職はかなり難しい。保育園の入園が決まり「よし! これでフルタイム復帰できる」と思っていましたが、子どもの発熱や感染症で1〜2週間の自宅保育がざらにあり、結局思うように復職できていません。私が勤めるNICTは時短勤務、リモートワーク、裁量労働などの働き方を選べるので、現在はそれらを活用しています。
鈴木悠氏(以下、きゃっふぃー):会社の仕事と育児のほかにも、大学院に通ったり、学会の運営幹事を行ったり、セキュリティイベントの実行委員などを担当したりしているので、様々な人にタイムマネジメントのことを聞かれます。私の場合、プライベートの家事などは曜日担当制にしています。たとえば、私が大学院のゼミに参加している日は、夫が在宅勤務で夕飯や家事などをします。もちろん、反対の日もあります。
仕事は、仕事と大学院の研究内容をできるだけ重複させて、どちらにも活かして円滑に進められるようにしています。ただ、論文作成は佳境に入ると睡眠時間を減らす必要があるため、健康管理も含めて調整を頑張っています。
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加山 恵美(カヤマ エミ)
EnterpriseZine/Security Online キュレーターフリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Online の取材・記事も担当しています。Webサイト:https://emiekayama.net
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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