
企業のサイバーセキュリティ戦略において、限られた予算で最大の効果を得るには何が必要でしょうか。答えは「柔軟できめ細やかなゼロトラストセキュリティ」による統合的アプローチです。本稿では、F1から得た洞察を元に、コスト制約下での革新、安全性とパフォーマンスの両立、組織全体の連携といった成功要因を探ります。統合セキュリティプラットフォームがもたらす競争優位性と、企業の防御体制強化への道筋を示します。
F1から学ぶ統合的サイバーセキュリティ戦略
2025年4月、鈴鹿サーキットで開催された「F1日本グランプリ」は、日本人ドライバーの活躍への期待もあり、大きな注目を集めました。しかし、F1は単にドライバーが競い合う舞台ではありません。ドライバー、マシン、エンジニア、データ分析、そして戦略が一体となった総合的な技術スポーツです。
今年のレースを観戦しながら、このスポーツとサイバーセキュリティには多くの共通点があることに気づきました。コスト制約、安全性と高いパフォーマンスを両立させる必要性、そして何よりもチーム全体の連携が成功の鍵を握る点など、柔軟できめ細やかなゼロトラストセキュリティの実装と同様の示唆に富む類似点が見られます。
決め手となる「柔軟できめ細やかなゼロトラスト」アプローチ
現代のサイバーセキュリティ成功の要因を理解することが重要です。「柔軟できめ細やかなゼロトラスト」は、従来の境界防御を超えた進化したアプローチであり、以下の原則に基づいています。
- すべてを疑い、常に検証する:すべてのユーザー・デバイス・アプリケーションの継続的認証
- 柔軟な適応力:変化するビジネス状況に応じた動的ポリシー適用
- きめ細やかな制御:特定の役割と状況に合わせた精密な最小権限アクセス
- リアルタイム インテリジェンス:継続的な監視と行動分析
- 統一プラットフォーム統合:複雑性を軽減しながらセキュリティを強化する統合管理
このアプローチにより、成功するレーシングチームが限られたリソースを最大のパフォーマンスのために最適化するように、組織はセキュリティ投資の効果を最大化しながら運用オーバーヘッドを削減できます。
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栄藤 稔(エトウ ミノル)
Netskope Inc. CxOアドバイザー人工知能(AI)、セキュリティ分野における豊富な経験を持つ栄藤氏の専門知識は、ネットスコープのお客様が現在の脅威環境を踏まえた最新の戦略およびアーキテクチャを形成する上で重要な役割を果たします。栄藤氏はNTTドコモ在職時代に、NTTドコモの全サービスプラ...
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