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2025年上半期のバズワード「MCP」はデファクトスタンダードになりうるのか?Red Hatに訊く

年次カンファレンスで示した“MCPコミット”の狙いとは

 2025年上半期の生成AI関連の話題において、最も登場頻度が高かったキーワードといえば「MCP(Model Context Protocol)」ではないだろうか。2024年11月にAnthropicがMCPを公開してからまだ数ヵ月しか経っていないが、既にGitHubやAWS、Atlassianなどは自社のサービスに対応したMCPサーバー群を公開しており、確実にエコシステムを拡大しつつある。エンタープライズ向けAIプラットフォームを展開するRed HatもまたMCPへのコミットを表明した企業の一つだ。今回は、2025年5月に米ボストンで開催された同社の年次カンファレンス「Red Hat Summit 2025」での取材を通して、MCPの優位性と課題について考察してみた。

なぜ「MCP」が支持され急拡大しているのか?

 MCPがAIアプリケーション開発者やAIプロバイダーから支持を得た大きな理由の一つに、AIアプリケーションと外部リソース(ツール、API、ベクターデータベースなど)との接続をクライアント/サーバー方式でもって大幅に簡素化(標準化)したことが挙げられる。

 これまではAIアプリケーション(LLM)を外部リソースと連携させる場合、ツールや外部APIごとに異なる実装が必要だった。極端にいえば「N個のモデル」と「M個のツール」があった場合、N×M個のソリューションを開発しなければならず、このことがAIエージェントの普及を妨げる一因となっていた。しかしMCPの登場により、モデルとツールの接続(サーバーによるツールの提供方法とクライアントによるツールの呼び出し方法)が共通化/標準化され、AIエージェントの開発工程を大幅に削減することが可能となり、スケールしやすくなったといわれている。AnthropicはMCPのことを「AIアプリケーション開発におけるUSB-C規格」と表現しているが、同社はMCPの定義だけでなくSDKをオープンソースで公開したこともあって、2025年に入ってからは一気に利用が拡大している。

 MCPへのコミットを表明した企業の一つで、「Red Hat OpenShift AI」「RHEL AI」を展開するRed Hatは年次カンファレンスで、MCPおよびMeta開発の「Llama Stack」をRed HatにおけるエージェンティックAIのキーコンポーネントとする方針を明らかにした。近い将来にはOpenShift AIにMCPとLlama Stackを統合し、AIエージェント開発のためのオプション/リファレンスを提供する予定であるという。Red HatでAI部門のCTOを務めるブライアン・スティーブンス(Brian Stevens)氏は「AIエージェントはエンタープライズAIの未来であり、エージェンティックAIの未来を支えるのはLlama StackとMCP」とRed Hat Summitで語っており、今後はAnthropicやMetaとの協業を深めていくことを明言している。

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Red HatはRed Hat Summit 2025でMCPとLlama StackをRed Hat OpenShift AIに統合し、エージェンティックAI開発のコア基盤にすると発表。近い将来にOpenShift AIのオプションとして提供される予定だ

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エージェンティックAI開発の“デファクトスタンダード”を狙う

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五味明子(ゴミ アキコ)

IT系出版社で編集者としてキャリアを積んだのち、2011年からフリーランスライターとして活動中。フィールドワークはオープンソース、クラウドコンピューティング、データアナリティクスなどエンタープライズITが中心で海外カンファレンスの取材が多い。
Twitter(@g3akk)や自身のブログでITニュース...

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