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2025年春号(EnterpriseZine Press 2025 Spring)特集「デジタル変革に待ったなし、地銀の生存競争──2025年の崖を回避するためのトリガーは」

DX人材難のIT部門に捧ぐ「優秀な人材と自部門のマッチング法」

優秀なDX人材は“魅力的な転職先”をどう見極めている?自社に「良質なリーダー」を呼び寄せる5つの視点

第1回:思想ではなく「行動と仕組み」で語るべし

 DXの明暗を分ける重要な要素の一つが「人材」です。多くの企業は、育成とあわせて即戦力を手に入れるべく外部からの採用に注力しています。とはいえ、優秀なDX人材は数も限られており、求める企業も多いため、自社で必要な人材をすぐに確保することは容易ではありません。そもそも、優秀とされるDX人材がどのような視点で転職する企業を選んでいるのか理解できていなければ、優秀なDX人材に自社ないしは自部門を選んでもらうことは難しいでしょう。連載「DX人材難のIT部門に捧ぐ『優秀な人材と自部門のマッチング法』」では、DXを担当するDX部門やIT部門で人材採用に携わる、もしくは人材難に悩んでいる方に向けて、自部門が求めるDX人材を採用するための具体的な手法を解説。「人材採用」の視点からDXプロジェクトを成功させるヒントを届けます。

机上の戦略とパッションだけでDX人材は集まらない

 2010年代後半から始まったDXブームは、2020年代初頭にピークを迎えました。 多くの大企業は中期経営計画にDXを組み込み、それを推し進めるための役員を抜擢し、必要な人材を集めるために中途採用を開始したり、DX組織を体系化したりと、DXプロジェクトが本格的に動き出したのがこの頃です。

 筆者はパーソルにて、DX推進にともなうデジタル人材の採用やデジタル組織構築に関するコンサルティング・実務支援を多くの大企業に向けて行ってきました。DXに成功する企業も失敗する企業も多く見てきた中で、DXの明暗を分ける大きな要素に「DX人材の獲得力」があると感じています。しかし、多くの企業がDX人材の獲得に苦戦している現状があるのです。

 日本能率協会が公表する「日本企業の経営課題2022」の調査では、「DX推進の課題」として「DX推進に関わる人材が不足している(育成が思うようにできていない)」と回答した人の割合が85.9%、次いで「DX推進に関わる人材が不足している(採用が思うようにできていない)」が83.1%という結果が示されています。DX人材の育成・採用の双方において、多くの企業が課題を抱えていることが分かります。

DX推進の課題
出典:『日本企業の経営課題2022』(2022年12月、一般社団日本能率協会)、【図1-5】DX推進の課題
[画像クリックで拡大します]

 また、総務省が公表する「情報通信白書2022」の調査データにおいても、DXを進める上での課題・障壁として、日本の企業は「人材不足(67.6%)」と回答した人の割合が米国・中国・ドイツの3ヵ国に比べて非常に高いことが指摘されています。また、2番目に多い課題として「デジタル技術の知識・リテラシー不足(44.8%)」が挙げられていることからも、人材に関する課題・障壁が多いことが読み取れます。

デジタル化を進める上での課題や障壁(国別)
出典:『国内外における最新の情報通信技術の研究開発及びデジタル活用の動向に関する調査研究』(2022年、総務省)
[画像クリックで拡大します]

 こうした背景もあり、2018年のDX草創期から2022年の間で、DX人材を対象とした求人は30倍に増加。多くの大企業がDX専任部門を立ち上げ、DX人材はそこへ転職していきました。 この時代のDX人材は、転職先を選ぶ際にその企業のビジョンを決め手にしていたと筆者は考えています。たとえば、「2030年にはDXによる新事業で○○億円を創出する」「中期経営計画の中核戦略としてDXを進め、売上の○○%をDXに投資予定」などといった“熱のこもった経営層のメッセージ”がDX人材を惹きつけていたのです。

 しかし、この傾向は確実に終焉を迎えつつあります。人材の流動性が高まる中で、戦略や思想だけでは優秀なDX人材は集められなくなっているのです。その結果、DX人材の採用に苦戦し、また採用しても定着しない現象が各社で頻発しています。

 優秀なDX人材は数も限られており、かつ求める企業も多いため、必要な人材を必要なときに確保することは容易ではありません。近年では、IT部門やDX部門が必要な人材を獲得するために採用の初期から携わり、採用戦略を該当部署が立てて、実行する企業も増えてきました。

 まさにDX人材を獲得するための争奪戦が繰り広げられる昨今、この戦いを勝ち抜くために企業はどう動くべきか。それを模索するために有効なのが、自分たちの求めるDX人材が企業に何を求めているのか、どのような視点で転職先を見極めているのか、相手の戦略を把握することです。ここからは、データと現場の声をもとに、DX人材の転職における実態を紐解いていきます。

次のページ
DX人材は企業のココを見ている? 自社に優秀な人材が集まらないワケ

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この記事の著者

武藤 竜耶(ムトウ タツヤ)

TECH PLAY Branding 事業責任者。インテリジェンス(現:パーソルキャリア)にて約4年間デジタル人材領域の採用支援を担当。その後デジタル人材領域の採用支援部門責任者として2年間部門立ち上げに取り組み、大手企業のDX組織採用体制コンサル、新会社立ち上げ組織支援、メガベンチャー大型採用戦略...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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