「開発した人が運用もする」悪循環……運用が半数以上に肥大
酒井真弓(以下、酒井):2022年、社内システムの運用を一手に引き受ける「ITサポート部」が立ち上がったと伺いました。まずは設立の背景を教えてください。
山﨑美穂(以下、山﨑):正直なところ、これまでの運用は課題だらけでした。まず、システム構築と運用業務の実に57.5%が運用保守に費やされていました。システムを作った人がそのまま運用も担当する形だったので、次の開発に割ける工数がどんどん減っていく悪循環に陥っていました。
それに、担当者によって運用プロセスがバラバラで標準化ができていませんでした。作業の記録もまちまちで、中には何の記録も残っていないシステムもありましたね。効率や品質に良くないことはもちろん、コストもどんどん上がっていく状態だったんです。
一方で、DXの要請は年々高まっています。そのリソースを捻出するために、運用を専門部隊に集約することにしました。運用を巻き取っていくことで、次のプロジェクトの開発リソースを確保しようという狙いです。
世間では、開発と運用を一体化するDevOpsの流れもありますが、当社はまだウォーターフォール開発が中心なので、まずは運用を集約して効率化しようと。今後はアジャイル開発も増えていくと思うので、将来的にはDevOpsも視野に入れています。
酒井:具体的にはどうやって運用を効率化していくのでしょうか?
山﨑:3ステップで考えています。1つ目は、今もまだ他の部門に残っている運用業務を巻き取ること。2つ目は、運用設計の徹底です。システムが完成してから運用を効率化しようとしても限界があります。だからこそ構築段階から「いかに運用のない仕組みにするか」を考える必要があるのです。当社では企画設計部門が運用設計を担当しますが、私たちは運用の立場から効率化や安定稼働の観点でいろいろな意見を出しています。3つ目は運用業務の効率化で、ITSMツールの導入などを進めています。システムは一度作ると20年近く動きますから、「いかに安く運用サービスの提供を継続できるか」が私のミッションです。