日本郵船は、会計基幹システムを「SAP S/4HANA Cloud Public Edition」へ移行し、社内システム基盤を刷新した。SAPジャパンとシグマクシスが協業しながら取り組みを支援し、システムは2025年7月の稼働開始から安定的に運用されているとのことだ。
日本郵船は、データドリブン経営の実現を目指して立ち上げた経営基盤刷新プロジェクトにおける取り組みの一つとして、国内外の子会社(船舶保有のための特別目的会社を含む)約350社の会計基幹システムを、パブリック版のSAP S/4HANA Cloudへ移行し、全社業務の標準化を行ったという。プロジェクトでは、会計・財務領域の主要5モジュール(機能群)を導入し、従来は複数システムに分散していた会計基盤を一元化したと述べている。
同取り組みでは、パブリック版のSAP S/4HANA Cloudを国内最大規模で導入し、広範な業務統合を実現したとのことだ。また、財務取引管理(TRM)やインハウスバンキング(IHB)などの高度な金融機能を同システム上で標準化した国内初の事例であり、世界的にも先進的なプロジェクトの一つと位置付けられるとSAPジャパンは述べている。
導入にあたっては、パブリック版のSAP S/4HANA Cloudの標準機能にあわせて、複雑化かつ属人化していた業務を標準化するFit to Standardを徹底。これにより、今までのシステムでは約450件あったアドオン開発による機能は約1割まで縮小したとのこと。同システムの定期バージョンアップも最小限の工数で対応可能となり、稼働直後の2025年8月に行われたグローバルバージョンアップも円滑に完了したという。
日本郵船は今後、同システムのバージョンアップを通じて最新技術を取り込みながら業務標準化を継続し、シグマクシスとSAPジャパンがこれを引き続き支援するとしている。また、標準化により整備されたクリーンコア環境で生成AIを駆使し、定型業務を自動化するとともに、より高度な分析・判断・提案業務へのシフトを推し進めるとのことだ。
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