トヨタシステムズは、基幹システムの中長期的な継続利用に向け、2025年10月に「レガシーコードラボ」を設立した。日本アイ・ビー・エム(以下、日本IBM)が支援した。
トヨタシステムズでは、2024年から日本IBMのAIソリューションを活用し、基幹システム開発やCOBOL・PL/Iなどのレガシー言語に精通した有識者の高齢化、次世代人材の育成や確保、有識者からのスキル継承といった課題の解決に取り組んでいるという。その中で、これまでと同等の開発生産性や品質を担保しながら次世代人材が開発を行うツールとして、生成AIを活用した「TG4X(Toyota Systems GenAI for DX)」を開発。加えて新たな開発プロセスを制定し、既存基幹システム開発での利用を開始しているとのことだ。
レガシーコードラボは、2025年10月からバーチャル組織として活動を開始した。トヨタシステムズと日本IBMの両社から、基幹システム有識者やAI技術者、次世代人材が参画しているという。2026年中を目途に、物理的な開発センターの設立を検討していると述べている。
レガシーコードラボの設立目的、取り組みの特徴
- 既存基幹システムの開発力の維持:レガシー言語による開発経験がない次世代人材がTG4Xを活用し、基幹システム開発を推進。これにより、レガシー言語の将来にわたる開発力を確保し、既存システムの中長期的な継続利用を実現
- TG4X機能の拡張・精度向上:TG4Xは、今後も生成AI技術の進歩や新たなテクノロジーを積極的に取り入れ、進化を続けていくという。この進化に携わることで、次世代人材メンバーはレガシー言語でのシステム開発だけでなく、生成AIをはじめとする先進技術の活用スキル習得も目指すとのこと
- 有識者の知見やノウハウの伝承:基幹システム開発に精通した有識者がアドバイザーとして参画することで、これまで培ってきたシステム開発経験や社内固有の基幹システム開発の知見・ノウハウを次世代人材に継承
展望
レガシーコードラボは今後、トヨタグループ内にとどまらず、同様の課題を抱える国内外の顧客への支援拡大を目指すとしている。TG4Xについても、より多様な言語やプロセスへの対応を予定しているとのことだ。またラボの繁忙期には、日本IBMの地域DXセンターとの協業も予定しており、変動する開発需要に柔軟に対応できる体制を構築していくと述べている。
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EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)
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