フィッシング対策に“楽しませる文化”を反映したT-Mobile:Zscalerイベントで見えた「ゼロトラストの未来」
「Zero Trust Everywhereのゴールは近い」製品戦略担当が見据える可能性

Zscalerは米国ラスベガスにて6月2日〜5日(現地時間)、年次イベント「Zenith Live '25」を開催。6月3日の基調講演では数々の新製品が発表されたほか、AdventHealth、T-Mobile、Honeywellでの事例も紹介された。本稿では、上記各社での事例とZscaler 製品戦略担当エグゼクティブ バイス プレジデント兼責任者のDhawal Sharma(ダワル・シャルマ)氏への個別インタビューの様子をお届けする。
従業員10万人超の医療機関で進むAI活用、セキュリティを担保するカギ
ラスベガスで開催された「Zenith Live '25」は、約2,000名に及ぶ参加者が集まる盛況ぶりであった。なかでも特に大きな盛り上がりを見せたのが、イベント2日目に行われた基調講演だ。講演では、Zscaler CEOであるJay Chaudhry(ジェイ・チャウドリー)氏や同社 CPO Adam Geller(アダム・ゲラー)氏などが登壇し、数々の新製品が発表された。新製品発表の様子は、以下のニュース記事で詳しく取り上げている。なお、今回発表された製品はすべて日本国内で利用可能だという。
講演では、Zscalerの製品を利用している企業事例も複数紹介された。そのトップバッターとして登壇したのは、AdventHealthでCISOを務めるRyan Winn(ライアン・ウェイン)氏だ。同組織は10万人を超える従業員、2,000以上の医療施設、50以上の病院で年間800万人もの患者を治療する、全米最大の非営利プロテスタント系医療機関。組織全体で成長を続けており、2030年までには従業員数が15万人に達する見込みだという。
そんな同組織を取り巻く医療業界全体の課題として、ウェイン氏は「高齢化により、患者の症状の重篤化スピードが速まっていること」をあげる。また、医療システムの発展にともなうネットワークの複雑化も無視できない問題だ。同組織では、今までプライベートネットワークを用いて各組織と連携を図っていたが、約1年半前にセキュリティツールを刷新。“より迅速に患者へ対応できる基盤を整えたい”という思いから「Zscaler Zero Trust Exchange」を導入し、ゼロトラストへの移行を開始したという。

また、同組織ではAI活用も積極的に行っている。具体的には、エンタープライズ版のChatGPTをメインに活用、それ以外にMicrosoft 365 Copilotも利用しているとのことだ。AI活用にともない浮上するのがデータセキュリティの問題だが、その点に関してもZscaler Zero Trust Exchangeを活用することで安全性を担保できている。

最後に、ウェイン氏は「Zero Trust Clinics」という概念について紹介。近くに病院がない場合にも治療が必要となるケースは数多く見受けられ、それへの対応策として病院よりも小規模のクリニックを複数開設し、患者を受け入れる方法がある。同氏は「組織の規模の拡大に応じて、クリニックの数も増やしていく必要がある」と語り、各クリニックにおけるセキュリティの担保にもZscalerのテクノロジーが活かされているとした。

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