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住友生命 岸和良の“JTC型DX”指南書 ~停滞するデジタル変革に喝!~

DXが動かない原因は人材不足ではない?リーダーを生み出せない企業に欠けている「5つの視点」と具体策

第4回:DXリーダーに必要な能力と具体的な“身に付け方”を解説

分断されたビジネス部門とIT部門をつなぐ有効手段とは

 組織一体となってDXを進めるために必要な5つの能力を先に挙げました。では、具体的にどのようなアクションを取れば5つの能力が身につくのか。アクション例を交えて解説していきます。

1, 顧客視点で考えるために

 DXの源泉は、顧客や社員のペイン(苦しみや違和感)です。たとえば、通信サービスを提供する企業で、顧客から「手続きが煩雑すぎる」というクレームが頻発している場合、その不満は改善の“タネ”を見つけ出す手がかりになります。このタネを見つけるためには、現場の顧客の声に触れる機会を増やすことが必要。

 たとえば、毎週のチームミーティングで「今週の顧客の声」を1つ取り上げ、「なぜその声が重要なのか」を議論する仕掛けを入れるだけでも効果があります。また、日常的には顧客と接する業務に関わらない社員が、カスタマーサポートや店舗業務などを体験することも有効です。顧客と接点を持つことで、本社にいたときには分からなかった現場の課題が見えてきます。そして、本社で考えていた企画がいかに机上の空論で、現実とズレていたかを痛感できる機会となるでしょう。

2, 部門を越えて調整する力を身に着けるために

 DXでは部門同士の連携が欠かせません。たとえば、製造業で商品開発部門が新サービスを企画しても、営業部門とIT部門の連携がうまくいかずに立ち消えてしまうことがあります。

 部門を横断しての調整力は自然に身につきません。何よりも「部門をまたいで動く経験」が必要です。たとえば、若手社員を対象に「改善テーマ」を1つ与え、それを営業・開発・IT部門を巻き込んで検討・提案させるといった育成方法などが有効でしょう。

 また、全社共通KPI(顧客満足度や再購入率など)を設定して部門連携のフックを作ることで、自然と部門を超えた協働が増え、従業員が調整力を身に付けることも期待できます。最初は部門調整に時間がかかるので担当者は嫌がりますが、「調整こそ価値がある」と理解させることがポイントです。

3, ビジネスとデジタルをつなぐ力を養うために

 「ビジネス部門とIT部門の話が噛み合っていない」という場面は、どの企業にもあるのではないでしょうか。たとえば、小売業で顧客分析システムを導入したときに、IT部門が「マニュアルなども準備しているのに、現場の利用率が上がらない」と悩む一方、現場では「使い方がよく分からないしIT部門のサポートも手薄で使っていない」と嘆くケースが少なからず発生します。筆者は、こうした問題が起きる背景には“横をつなぐ人”の不在があることが多いと感じます。

 この場合、横をつなぐ人を担う人材は、“業務とデジタルの両方が分かる人”が適切です。この人の役割は、ビジネス部門とIT部門がお互いに歩み寄って協働できるように仕向けること。たとえば、マーケティングや営業部門といったビジネス側の社員に対してノーコードツールやBIツールを使った分析研修を提供し、デジタルに慣れてもらうなどの取り組みは有効でしょう。一方、IT部門の社員向けには顧客ペルソナ設計やサービスデザイン思考などの演習を提供することで、ビジネスサイドの視点を養ってもらうことが重要です。

4, ストーリーで語り、周囲を巻き込むために

 どれだけ正しいDX企画であっても、「なぜ今自分たちがこれをやるのか」をメンバーに理解してもらい、自分ごととして捉えてもらわないとプロジェクトは動きません。たとえば、紙の手続きをデジタル化するデジタイゼーションのプロジェクトが停滞していたとします。筆者の経験上、その原因は多くの場合、デジタル技術不足ではなく現場を巻き込む力の不足にあります。

 この力を身につけるためには、「語る場」と「社外越境活動」が肝心です。具体的には、社内で月1回ほど勉強会を開催し、なぜ今DXをやるのか(目的の認識)→何が問題か(課題の抽出)→何をするか(行動)→何を学べたか(成果の振り返り)の順番でプロジェクトを語る機会を設けます。また、社内外で社員に記事執筆やイベント登壇の機会を持たせることも効果的です。これによって組織の中だけでなく、組織を超えた横のつながりを生み出すきっかけが作れます。

5, 未来から逆算する構想力を身に着けるために

 最初は“小さな成功”で自信を身に付けるために、スモールDXで成果を出すことが重要だとお伝えしました(第3回を参照)。しかし、全社で成果を出すためには「未来起点で今を設計する構想力」が必要です。たとえば、物流業で配送効率化に向けた取り組みを行っていても、「2030年に自動配送が当たり前になったら?」という発想がなければ、戦略は近視眼的なものになってしまいます。

 この力は、意識して未来を語ったり、未来を考え抜いたりする機会を設けることで養われます。具体的には、各部門で「5年後の顧客の生活」を描くワークショップを実施し、想像した未来から今やるべきことを逆算して考える力を社員に身に着けてもらうなどが有効です。また、異業種の成功事例や未来技術レポートを共有することで、社員の想像の幅を広げることもできます。構想力は「遠くを見る練習」を繰り返すことで伸びていくのです。

まとめ

 DXが全社規模で動かない原因にはやる気や情熱の不足もあるでしょうが、もっと大きな問題は、全社DXを動かす具体的な「能力」が明確になっていないこと。そして、それを身につける育成プログラムが確立されていないことです。

 能力は偶然身に付くものではなく、企業が意図して社員に付与すべきものだと筆者は考えます。今回紹介した5つの能力はJTCだけでなく、どの企業や団体でも有効です。大事なのは、DX人材育成を企業や団体の組織戦略にすること。能力は人を動かし、人が組織を変えます。人材育成なくしてDXの成功はないのです。

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住友生命 岸和良の“JTC型DX”指南書 ~停滞するデジタル変革に喝!~連載記事一覧

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この記事の著者

岸 和良(キシ カズヨシ)

住友生命保険相互会社  エグゼクティブ・フェロー  デジタル共創オフィサー デジタル&データ本部 事務局長住友生命に入社後、生命保険事業に従事しながらオープンイノベーションの一環として週末に教育研究、プロボノ活動、執筆、講演、趣味の野菜作りを行う。2016年から...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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