2025年10月6日、コロプラは、同社が推進する社内AI活用推進施策の詳細を発表した。
同発表では、当社が策定した「AI成熟度モデル」と、社員の心理変化を可視化する「心理的浸透度モデル」、さらに企業が踏むべきステップを、具体的なデータや事例を交えて紹介している。「これらのモデルを通して、自社におけるAI活用の次の一手を考えるうえでのフレームワークとして活用してほしい」としている。
社員アンケートで見えたAI活用の現状
同社では、2022年頃から社内でのAI活用推進が本格的に始まった。9月に実施したAI活用に関する社内アンケートでは、回答者の92%が何らかの形で業務にAIを活用しており、そのうち半数以上は“ほぼ毎日”活用しているという。さらに「週に数回以上」の回答者を含めるとその数字は85%を超え、活用率の高さに加えて利用頻度の高さも確認されたとのことだ。

活用度の高さの裏には、社員個人の業務効率化に対する実感の高さがあるという。活用者の30%以上が「業務量50%以上の削減を実感」しており、これはAIを使うことで「作業時間が半分以下になった」と感じる社員が3人に1人以上いるという計算になる。

AI活用を整理する「5段階の成熟度モデル」
同社では、一般的なAI成熟度モデルとして以下の5段階のレベルを設定しているという。
- 【レベル1】認識(Awareness):AIの可能性を認識し始める
- 【レベル2】探索(Active):パイロットプロジェクトや小規模な実験を開始する
- 【レベル3】運用(Operational):特定業務でAIを本格運用する
- 【レベル4】体系化(Systemic):組織全体でAIを体系的に活用していく
- 【レベル5】変革(Transformational):AIがビジネスモデルを変革

多くの場合、「レベル2:探索」の個人での試験的なAI活用までは進むものの、業務における本格導入である「レベル3:運用」の壁を越えられずに止まりがちだ。ここで止まってしまうと、その後の「レベル4:体系化」の組織運営に入る手前で止まってしまうため、企業としての活用方針を定める前段階でAI活用が進まないと同社は述べる。
AI導入の「4ステップ」と社員の心理を整理する「6段階モデル」
同社はAIを根づかせるための「導入」にも、以下画像のような段階的な4つのステップを構築したという。

導入のステップを妨げる大きな理由は、心理的な抵抗だと同社は分析。そこで、社員の心理状態を読み解くべく、AIに対する6つの「心理的浸透度モデル」を構築し、各社員のAIに対するスタンスを整理したとのことだ。

同社が行った心理状態の評価指標例は以下のとおり。
- AI関連の研修参加率
- AIツール利用率(部門別・年齢層別)
- AI活用による業務改善提案数
- 経営層のAIに関する発言頻度
- AI投資額の対売上高比率
同社では役職者(マネージャー以上)のAI活用率はほぼ100%であり、役職者が率先して活用する姿勢が非役職者にも広がりをもたらし、社内全体の推進力となっているそうだ。また、広報発信やコミュニケーション施策も重要だという。様々な職種の「AIを使ってみた」という声をSlackチャンネルや人事主体のAI勉強会、LT会といったイベントを通じて共有。加えて、経営層が活用の方向性やガイドラインを明確に示すことで心理的な抵抗感を和らげ、「トップダウン」「ボトムアップ」「ミドルアップダウン」といった多方向からのアプローチ戦略をとることが、社内のAI活用の浸透において有効だとした。
2025年9月現在、同社は社員の心理フェーズとして、活用者の4分の1が「革新期」にあると自覚しており、AI活用の初期段階である「受容期」は10%以下にとどまっているという。まだこれからの活用が期待される社員も一部見受けられるが、社内全般に「AIを使うのが当たり前」という雰囲気が醸成されているとのことだ。

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EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)
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