2026年1月28日、EYストラテジー・アンド・コンサルティング(EYSC)は、企業活動の前提を大きく変えつつあるテクノロジーの潮流を整理し、今後の成長戦略および投資判断に向けた示唆をまとめたレポート 「Next in Tech 2026」 を公開した。
同レポートでは、テクノロジーを単なる効率化の手段として捉えるのではなく、産業構造や競争環境、企業の役割そのものを再定義する変化として位置付け、企業が中長期的に検討すべき論点と対応の方向性を提示しているという。同レポートで示されているポイントは以下のとおり。
1. Agentic Web(エージェントが駆動するWeb構造転換)
AIエージェントがWeb上で自律的に行動することで、これまで人間が担ってきた情報探索・意思決定・実行がエージェント中心に再配置されるという。これにより、企業のサービス提供モデルや取引プロセスに構造的な変化が生じるとのことだ。
2. デジタルマネー(金融インフラの再定義)
プログラマブルな価値移転の実装が進み、決済・経理・サプライチェーンがリアルタイムに連携。AIエージェントが経済主体化する未来を見据え、企業アーキテクチャと財務オペレーションの見直しが加速するとしている。
3. フィジカルAI(現実世界の実行力)
ロボティクス、IoT、制御技術とAIの融合により、製造・物流・インフラ等の現場で安全性と生産性の新たな水準が実現しつつあるという。労働力不足や安全確保の課題に対する実装的な解が拡大しているとのことだ。
4. 自律型エンタープライズ(企業内部の自律最適化)
AIエージェントが意思決定・業務執行を支援し、変化に強い運営(レジリエンス)を後押し。段階的な導入とガバナンス整備により、全社最適と現場の自律を両立するとしている。
5. 顧客体験の再定義
文脈理解に長けたAIが顧客接点そのものを刷新し、より深い理解に基づく体験設計が競争優位の鍵となると同社は述べている。
6. 量子脅威(暗号基盤への構造的リスク)
量子コンピューターの進化により暗号が解読される「Q‑Day」の現実味が増す中、暗号技術の段階的刷新(耐量子暗号・ハイブリッド化)は急務だという。事業継続と信頼維持の観点から、戦略的な移行計画が求められるとのことだ。
同レポートを執筆・監修したEYSC テクノロジーコンサルティング デジタル・イノベーション ディレクター 城田真琴氏は以下のようにコメントしている。
「『EY Next in Tech』は、テクノロジーそのものではなく、それが企業や社会の前提をどのように変えつつあるかについて洞察を提供するレポートです。初の試みとなる2026年版では、『Agentic Web』や『デジタルマネー』に加え、『フィジカルAI』『自律型エンタープライズ』『顧客体験の再定義』『量子脅威』という6つのテーマを取り上げました。これらはいずれも個別の技術論ではなく、企業の構造や意思決定、競争力に中長期的な影響を及ぼす変化です。本レポートが、短期的な技術導入を超え、2030年を見据えた戦略的な議論の起点となるとともに、各企業が自社の競争戦略を見直す契機となることを期待しています」
【関連記事】
・EY新日本、新リース会計基準に沿った会計処理をAIエージェントで支援するツールを開発
・セキュリティ部門はプロジェクト1件当たり53億円超の価値を創出するも、予算は減少傾向に──EY調査
・EY、「OSINT」活用した経済安全保障意思決定支援コンサルティングサービスを本格提供へ
この記事は参考になりましたか?
- 関連リンク
- この記事の著者
-
EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)
「EnterpriseZine」(エンタープライズジン)は、翔泳社が運営する企業のIT活用とビジネス成長を支援するITリーダー向け専門メディアです。データテクノロジー/情報セキュリティの最新動向を中心に、企業ITに関する多様な情報をお届けしています。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア
