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EnterpriseZine編集部が最旬ITトピックの深層に迫る。ここでしか読めない、エンタープライズITの最新トピックをお届けします。

『EnterpriseZine Press』

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冨永裕子の「エンタープライズIT」アナリシス

規制と変革のジレンマに陥った欧州、珍しい国際戦略を打ち出した中国……市川類氏が世界のAI政策を総括

2025年の動向を踏まえ、2026年に注目しておくべき政策動向とは?

AI戦略でリードする米中、各国の戦略の違いは?

 法制度の動向とは別に、市川氏は各国のAI戦略の動向も解説した。2025年には、米国の「AI行動計画」からEUの「AI大陸行動計画」、中国の「AI+」のほか、韓国、フランス、英国、豪州、カナダ、台湾、および日本の「人工知能基本計画」まで、主要国はすべてAI戦略を更新している。現在リードしているのは米中で、英仏韓の3国が3位争いを繰り広げているとのことだ。

主要国のAI戦略の詳細/出典:市川類氏提供資料

 また、研究開発分野など、個別分野を対象としたAI戦略を発表した国もある。なかでも話題になったのが、マンハッタン計画に匹敵する事業として、米国が打ち出した「Genesis Mission」だ。これは、政府主導で研究開発能力の強化に向けたAIプラットフォームを構築しようとするもので、世界最大規模のデータセットを用いて基盤モデルのトレーニングを行い、新しい仮説の検証、研究ワークフローの自動化、科学的ブレイクスルーを加速させるAIエージェントを構築する計画を表明している。「アドバンスドマニュファクチャリング」「バイオテクノロジー」「重要素材」「核分裂および核融合エネルギー」「量子情報科学」「半導体およびマイクロエレクトロニクス」の6分野がその対象に選ばれた。

 このように、米国はプラットフォームで世界をリードする意思をAI戦略に反映させただけでなく、サイバーセキュリティ対策や安全保障リスク評価のような守りも押さえている。対する中国は、プラットフォームもだが、「AIは社会全体を発展させていくためのものである」という考えのもと、幅広い分野での応用や“社会ガバナンス”に焦点を当てた戦略を策定している。

 そして、ナンバー3を争う欧州、英国、韓国は、自国内での計算資源インフラの構築から始め、そのインフラを各国企業が使えるエコシステムに育成する将来像を描いている。特に、欧州と韓国では、産業界との連携にも意欲的だ。

 前述した通り、米国では連邦政府と州政府の政策動向が異なり、今後を見極めることが難しい。また、欧州がイノベーション重視に舵を切ったことで、その判断がどのように他国に影響を及ぼすかも注視する必要がある。市川氏は、「2026年の見通しは依然として不透明だが、地政学的観点から、2年目を迎えたトランプ政権下の米中の競争、グローバルサウスの台頭を踏まえた動向を注視する必要がある」と総括した。

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冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://enterprisezine.jp/article/detail/23642 2026/02/16 08:00

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