弥生は2月9日、「弥生の考えるAI戦略」と題した戦略説明会を開催し、2026年度におけるAI戦略の方針を明らかにした。
同社は1年前から「中小企業を元気にすることで、日本の好循環をつくる」というミッションを掲げ、各種ソリューションを展開している。代表取締役 社長執行役員 CEOの武藤健一郎氏はまず、2025年度に強化した領域について「現場の業務効率化(現場に力を)」「経営判断支援(経営に可能性を)」「組織」の3つのセグメントを示した。
具体的な取り組みとして最初に言及したのが「弥生会計 Next」の提供開始だ。同社のクラウドサービスブランド「弥生 Next」の中核を担う法人向けクラウド会計サービスとして2025年4月に提供が開始され、「完全自動化と『資金分析 β版』などAIを活用した経営支援機能を充実させたことが特長だ」と武藤氏は説明する。
また、M&Aによる下地強化にも取り組んだという。同社は7月にAI与信管理サービスを提供する「Alarmbox」を買収し、Fintechサービスとして「パワーサーチ for 弥生ユーザー」「ギャランティ for 弥生ユーザー」の2つを展開している。
加えて、社内体制も大きく変えた。BU(Business Unit)体制への移行や人事ポリシーの刷新、社内AI活用の推進などを通じて、顧客ニーズに即応できる組織へ変革を目指しているという。
こうして整えた基盤をもって、「2026年度は弥生の強みである顧客基盤と士業ネットワーク、データ、サポート力を、AIと掛け合わせることで、我々の掲げるミッション達成を目指す」と武藤氏は強調する。具体的には弥生のツールにAIを埋め込むことで、ユーザーが意識せずに価値を獲得できる形を提供するという。具体的なアプローチとして、以下の「3つのA」が示された。
- Automate(業務の実行代行):エージェントがユーザーの代わりに業務を遂行する。紙の領収書や請求書のデータ化から仕訳、会計システムへの入力までをAIが完結させる
- Assist(判断・実行):全自動を好まないユーザー向けに、操作をステップ・バイ・ステップでナビゲート。問い合わせデータを学習したチャットボットが最適な操作方法や仕訳のアドバイスを行う
- Advise(助言・ガイド):蓄積されたデータに基づき経営判断を支援。たとえば6ヵ月後の資金繰り予測を行い、必要に応じて銀行融資の検討を促すといった機能が含まれる
武藤氏は、この3つのAについて「AutomateとAssistは他社でも提供しているため、差別化要因になるとは考えていない。3つ目のAdviseこそ弥生の強みになる」と指摘した。
また同氏は、クラウド化が叫ばれる中、個人・中小企業市場の約6割、新規顧客の約4割がいまだにデスクトップ製品を選択していると指摘。そこで、同社では「AIをクラウド専用機能にせず、デスクトップ版にも搭載する方針」であることを示した。製品形態(クラウド/デスクトップ)や企業のITリテラシーレベルにかかわらず、最適な形でAIを提供する体制を整えていくという。
最後に武藤氏は、「2025年はプロダクトや組織など、会社としての“基盤”を整えた年。2026年はその基盤にAIやデータを組み込んで、事業に血を通わせていきたい」と抱負を語り、説明会を締めくくった。
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