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2026年冬号(EnterpriseZine Press 2026 Winter)特集「AI時代こそ『攻めの経理・攻めのCFO』に転じる」

EnterpriseZine Press

日本IBM出身の入澤由典氏がキンドリルジャパンを舵取る──過去最高益から“さらなる成長”に向けて意欲

自席の前には長蛇の列ができるフランクなスタイル、ボトムアップで組織風土を変える

若い世代が現場を敬遠する今こそ、自動化による余白を

 約40年にわたりIT業界の最前線に身を置いてきた入澤氏は、現在の日本企業が抱える課題を次のようにとらえている。かつてのITは、単なる「コスト削減」の対象であり、保守費用の低減や生産性向上のためのツールに過ぎなかった。しかし現在ITは、企業の競争力を左右する戦略的武器へと変貌を遂げている。

 欧米に比べ日本特有の構造的課題も根深い。意思決定がボトムアップであるがゆえに初動が遅れがちな点や、IT部門と事業部門の責任境界線が曖昧な点などが変革の足かせとなっている。特にIT人材の配置について、欧米では7割がユーザー企業側に在籍するのに対し、日本は逆に7割がITベンダー側に依存しているという構造がある。

 これらの現状に対し、入澤氏は「昨今、戦略的にITを活用するために自社でスキルを持ちたいというお客さまが増えています」と、変化の兆しも感じているという。しかしながら日本の状況では、すべてのシステムを内製化することが正解ではないだろう。事業の根幹を支える「安定運用」という非競争領域については、信頼できるパートナーに委ね、自社のリソースを、付加価値を生む「競争領域」への注力とシフトさせるべきだと入澤氏は述べる。

 「労働人口が減少し、若い世代が運用現場を敬遠しがちな今、テクノロジーによる自動化で現場に余白を作ることが急務です。その余白こそが、若手社員がより創造的な業務に携わり、自社のデジタル変革を牽引するスキルを磨くための場になるのです」と、内製化の真の目的を再定義する。

 インフラ運用の現場においても、エージェンティックAIが果たす役割が大きくなっていくという。過去のデータに基づいた判断をサポートし、運用ミスを減らし、労働人口不足をテクノロジーで補うための現実的な武器だと主張する。

 「AIを何に使うかという議論の前に、我々はどこにAIを使えば最も効果が出るかを知っています」と入澤氏。この言葉には、理想論では実現しない、ミッションクリティカルなシステムの運用現場を知り尽くした者ならではの自負がある。

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「止まらない」を前提としたレジリエンスとセキュリティ

 ミッションクリティカルなシステムを担う上で、AI以上に避けて通れないのがセキュリティ対策だ。昨今、ランサムウェアをはじめとするサイバー攻撃は激化の一途を辿り、もはや「侵入を防ぐ」だけでは不十分な時代となった。入澤氏は、キンドリルが提供する価値の核心にサイバーレジリエンスを据える。

 「我々が提供するのは、単なるセキュリティ製品の導入ではありません。万が一の事態が起きた際、いかに迅速にビジネスを復旧させるかという、運用に根ざしたレジリエンスです」と話す。同社は、攻撃の予兆を検知するだけでなく、データバックアップの整合性を担保し、迅速な復旧を実現する仕組みを、長年のメインフレーム運用のノウハウを応用し提供している。

 「セキュリティはもはやIT部門だけの問題ではなく、経営の最優先事項です。経営者が『うちは大丈夫だ』と確信を持って言える状態を作るために、運用のプロフェッショナルとして一歩踏み込んだ支援を行います」。入澤氏の言葉からは、社会インフラを守るという強い使命感が感じられる。

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組織文化の変革:「失敗を恐れない」マインドセットへ

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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