マネーフォワードは4月7日、AI戦略に関する記者発表会「マネーフォワード AI VISION 2026」を開催し、自然言語による指示のみでAIが自律的にバックオフィス業務を遂行する新サービス「マネーフォワード AI Cowork」を発表。7月の提供開始を目指すという。
発表会に登壇した代表取締役社長 グループCEOの辻庸介氏は、日本の生産年齢人口が2020年の7509万人から2070年には4535万人にまで減少するという試算を提示し、人手不足が企業経営における最大の懸念事項となっている現状を指摘した。同社はこれまで10年以上にわたり、個人事業主から上場企業まで、あらゆる規模の企業に対してクラウド化による業務支援を提供し、課金顧客数は44万事業者を突破している。
辻氏は「これまではクラウドと生成AIを組み合わせ、給与計算のカスタム計算式生成や契約情報の自動入力といった便利な機能を提供してきた。現在はさらに踏み込み、特定の業務を代替するAIエージェントの提供へと進化している」と述べ、確定申告において従来6日間を要していた作業が3時間に短縮された実例を紹介した。さらに、同社はAIによる自動処理と専門スタッフによる品質チェックを組み合わせたAI-BPOサービスとして、中小企業向けの「マネーフォワード おまかせ経理」や中堅・大企業向けの「マネーフォワード おまかせ請求回収」を展開している。
今回発表されたマネーフォワード AI Coworkは、バックオフィス業務の自動化を目指す同社にとって象徴的なプロダクトとなる。同サービスは、ユーザーが「今月の経理業務をまとめて処理して」と自然言語で指示を出すだけで、背後にある複数のAIエージェントが連携して業務を遂行するという。
執行役員 ビジネスセグメント CPO/VPoPの廣原亜樹氏は、この仕組みを支える「オーケストレーター」の重要性を強調した。オーケストレーターはユーザーの意図を解釈し、マネーフォワードが提供するエージェントだけでなく、開発パートナーやユーザー自身が作成した「マイエージェント」へとタスクを振り分ける役割を担う。
業務利用に最適化されたUXとして、定型業務をメニューから選択できる「エージェントリスト」や、AI側から締切に基づき業務を提案する通知機能、さらには社内の人事やITに関する不明点に回答する「社内AIヘルプデスク機能」を搭載する。
ガバナンスとセキュリティ面についても、ビジネス利用に耐えうる機能が盛り込まるという。AIが社内ルールを逸脱しないための「ガードレール」機能や、AIが作成した下書きを最終的に人間が確認・承認する「Draft & Approve」の仕組みが導入される。また、いつ誰がどのAIを操作したかをすべて記録する「AI監査ログ」も提供されるとした。廣原氏は、同社の強みはマネーフォワード クラウドに蓄積された豊富な業務ロジックとデータにあるとした上で、他社SaaSとの横断的な連携を可能にするMCPサーバーの全プラン提供開始や、社内のあらゆるデータを統合するデータマート接続についても言及した。
辻氏は、従来のデジタルツール市場(2.8兆円)に加え、人件費の代替となるデジタルワーカー市場(14.1兆円)へのアクセスにより、2030年度までにAI関連でARR(年間経常収益)150億円以上の創出を目指すと宣言した。辻氏は「『ありがとう』と言いたくなるような、一人ひとりに優秀なアシスタントがいる世界をつくりたい。人手不足に悩む企業に喜んでもらえるよう、開発を急ピッチで進める」と締めくくった。
なお、利用料金体系については検討中としつつ、アカウント単位の課金(シート課金)と従量課金の組み合わせを示唆した。マネーフォワード AI Coworkは7月のリリースに先駆け、4月7日より特設サイトにて先行受付を開始している。
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小山 奨太(編集部)(コヤマ ショウタ)
EnterpriseZine編集部所属。製造小売業の情報システム部門で運用保守、DX推進などを経験。
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