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2026年冬号(EnterpriseZine Press 2026 Winter)特集「AI時代こそ『攻めの経理・攻めのCFO』に転じる」

手強い“2025年の崖”を乗り越える:モダナイゼーション最前線

AIエージェントと人が“自然に”連携できる基盤の条件 安定運用を実現するカギは「〇〇の両立」にあり

社員のAI活用率94%を維持しながら、安全な活用体制を両立するために行っていること

AIと人の業務を“自然に”連携するための3ポイント

 前頁で整理したように、データの整備、業務プロセスの標準化、既存資産の活用といった取り組みは、AIが業務の中で機能するための前提条件になっています。しかし、これらの条件が整ったとしても、それだけでは十分ではありません。モダナイゼーションの最終ステップは、「AIと人の役割を再設計すること」です。

 AIエージェントが業務に入り込むことで、必ず問われるのが「人は何をするのか」という問いです。この問いに対して重要なのは、「仕事を奪う/奪われる」という二項対立で考えないことです。むしろ、人とAIの強みを前提に役割を再設計することが求められます。

 AIが得意とするのは、以下のような領域です。

  • 複数システムにまたがる情報の検索・要約
  • データに基づく異常検知や傾向分析
  • 定型的な業務の自動実行
  • 問い合わせに対する一次対応

 一方で、人が担うべきは次のような領域です。

  • 何を価値とするかを決める(目的設定)
  • 状況や関係性を踏まえた判断(文脈理解)
  • 関係者の合意形成や例外対応
  • 最終的な意思決定と責任の所在

 この役割分担が明確になると、AIエージェント導入の意味は「人を減らすこと」ではなく、「人がより高い価値を生む判断と調整に集中できる業務構造をつくること」へと変わります。

 ただし、AIと人の協働を実現するためには、単なる役割分担では不十分です。実際の業務の中で、両者が自然に連携できる設計が必要になります。そのポイントは3つあります。

 1つ目は、業務の玄関口を統一することです。依頼、申請、問い合わせが分散している状態では、AIはどこから手を付けるべきか判断できません。ポータルなどの統一された入口を設けることで、AIは初めて迷わず動けるようになります。

 2つ目は、WhatとHowの分離です。AIはデータから「何をすべきか(What)」を提示し、人はそれを踏まえて「どう実行するか(How)」を最終調整する。この分担により、意思決定のスピードと質を両立できます。

 3つ目は、スモールスタートによる定着です。いきなり全社変革をめざすのではなく、効果が見えやすい領域から導入し、小さな成功体験を積み重ねることが重要です。

 これらを通じて、AIと人が自然に連携する「業務の流れ」を設計することが、協働を機能させるカギとなります。

 さらに重要なのは、この再設計は“固定ではない”という点です。業務が変われば役割の境界も変わりますし、AIの進化に応じて任せられる範囲も広がっていきます。したがって、役割分担は固定するのではなく、継続的に見直し、更新できる仕組みとして設計する必要があります。

 データを整備し、プロセスを標準化し、既存資産を活かす。そのうえで、AIと人の役割を再設計する。ここまで来て初めて、モダナイゼーションは単なるシステム刷新からハイブリッド協働基盤の構築へと昇華します。

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AIガバナンス・セキュリティ策定の肝は「スケール前提」の設計

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この記事の著者

北林 拓丈(キタバヤシ ヒロタケ)

 株式会社日立ソリューションズ 業務革新統括本部 AIトランスフォーメーション推進本部 チーフAIエバンジェリスト。 入社後、Javaエンジニアを経て米国業務研修後、大手通信事業者のシステム再構築プロジェクトなどに参加。2020年からシリコンバレーに駐在し、スタートアップ連携に従事しつつ、生成AIに...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://enterprisezine.jp/article/detail/24474 2026/07/15 08:00

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