IE9日本語版、いよいよ登場
もともと3月15日に公開される予定だったが、3月11日に発生した東日本大震災を受け、ネットワークインフラへの負荷などを考慮し、その提供が延期されていたIE9日本語版。
すでに全世界で4,000万以上のダウンロード数を記録しており、FacebookやAmazonなどIE9に対応したサイトも1,000を超えている。
4月25日に行われた同社の会見において、日本マイクロソフト 代表執行役 副社長 コンシューマー&オンライン事業部担当 堂山昌司氏は「IE9は、IEの歴史を書き換えるスピードで普及が拡がっている。ネイティブアプリと同じ世界をWebでも届けたい」と抱負を語る。
IE9はいくつかの面で過去のIEと大きく異なる点がある。堂山氏はそれらを4つの特徴にカテゴライズして強調する。
1. 高速 … ハードウェア、とくにGPUアクセラレーションに注力し、高速表示を実現
2. 洗練 … 主役はWebコンテンツ、コンテンツを魅力的に見せるインタフェースにこだわる
3. 信頼 … コンシューマ/企業ユーザの双方に安全に利用してもらうため、安定した動作とプライバシー保護を重視
4. 相互運用性 … 今後の標準となるHTML5に準拠、どんなデバイスでも表示可能に、他ブラウザとの互換性も強化
この中で最も注目すべきは、やはり4の相互運用性、つまりHTML5、CSS3、SVGなど現在主流のWeb標準技術にIE9が対応したことだろう。
Web開発の現場では「これでIEもモダンブラウザの仲間入りを果たした」という好意的な評価がなされており、世界で最も高いシェアをもつIEがこれらに準拠したことで、Webアプリケーション開発のクオリティやスピードが大幅に向上すると期待する向きも少なくない。
Microsoft Valuable Professionalのひとりである白石俊平氏は「IE9の登場はWebの世界全体に貢献する重要なアップデート」とコメントしている。
IE9は正式リリースまでに、開発者の評価を狙いとしたPlatform Preview版(PP1 - PP4)、広く一般ユーザからのフィードバックを得るためのベータ版(PP5 - PP7)、そして製品候補版(PP8)という段階を経ている。
この間、Intel、AMDなどのハードウェアベンダや、ぐるなび、Yahoo! JAPAN、楽天などのコンテンツ/サービス事業者のほか、数多くの企業向けアプリケーション/ソリューションベンダとともに検証を行い、「彼らパートナーと一緒に細部まで作りこんだ製品」(堂山氏)に仕上がったとしている。