「リーンスタートアップ」、「顧客開発モデル」などの起業家手法が、話題となっています。そして、ベンチャー企業だけではなく、大手企業の新規事業開発の場面でも、これらの起業家手法が使われ始めています。 翔泳社発行「ビズジェネ」では、WEBサイトの公開を記念して、新規事業開発、ビジネススタートアップのバイブル『アントレプレナーの教科書』(スティーブ・ブランク著・堤孝志、他訳)のダイジェスト版(PDFデータ)を、アンケートにお答え頂いた方に漏れ無く、プレゼント致します。
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【ライトニングトーク】アントレプレナー・イントレプレナーとしての「顧客開発モデル」
つづいて、アントレプレナー・イントレプレナーとしての「顧客開発モデル」実践活動についてのライトニングトークが行われた。壇上に上がったのは、
- NECビッグローブ株式会社 芳賀 康平 氏
- 株式会社エムティーアイ 小畑 陽一 氏
- 株式会社co-meeting 吉田雄哉 氏
の3氏である。順番に紹介する。
トップバッターのNECビッグローブ芳賀氏は、Androidアプリ『Let'sApp』での試行錯誤の様子を紹介した。『Let'sApp』は、自分が使っているアプリを開いてに簡単に伝えられるAndroid向けアプリだが、基本機能の利用状況を測定することで期待値との差分を明らかにして、機能を修正し追加していったとのこと。
チームでアジャイル開発の一手法であるスクラムに取り組み、良い学びを蓄積できるように「仮説検証かんばん」という手法を編み出したそうだ。こうした活動を通じて開発者がユーザを意識できるようになり、チームが阿吽の呼吸で行動できるので成果を出すスピードが上がった、と述べたのが印象的であった。
芳賀氏のスライド全容は、こちらを参照ください。
つづいてエムティーアイの小畑氏は、製品である『モバイルコンバート』(以下MC)を題材として、既存型ビジネスとイノベーションを両立する組織運営についての取り組みを紹介した。MCは、携帯サイトのマルチキャリア対応ソリューションだが、これをスマートフォンに対応させるにあたってリーンスタートアップ手法を取り入れてきたとのこと。ガラケー中心の既存事業を土台として、スマートフォン対応の新規事業を組み合わせる必要があったため、チームを分けた上で双方が足を引っ張らない組織づくりに努めたそうだ。
マネジメント・スタイルの対比として、既存事業はコックスだけが前を向いて効率を追求するレガッタ型で、新規事業は全員が前を向いて変化に対応するラフティング型、と例えた説明があった。リーン・スタートアップの本質を捉えた、わかりやすい喩えではないだろうか。
小畑氏のスライド全容は、こちらを参照ください。
最後に、リアルタイムチャットサービス『co-meeting』を提供しているco-meetingの吉田氏からは、自らのスタートアップ過程における3つのTipsを紹介した。4人の仲間で声を掛けあって起業したが、活動にコミットしてくれるメンターの存在が大切であるとした(1つめのTips)。このメンターから教わった『アントレプレナーの教科書』と『ビジネスモデル・ジェネレーション』を、ビジネスを考えるツールとして活用してきたそうだ(2つめのTips)。
さらに、クラウドを活用するなど小さな工夫を積み重ねることで、チームの学びを価値に転換していくことが大切(3つめのTips)としたが、仮説検証を重視するリーン・スタートアップらしい価値の創出といえるだろう。
吉田氏のスライド全容は、こちらを参照ください。
【筆者補足】
3氏に共通していたのは、やりたいこと・やるべきことが明確で実践を重視していることにある。芳賀氏は現場の創意工夫が成果につながること、小畑氏はマネジメントの工夫で既存の組織にもイノベーションの仕組みを組み込めること、吉田氏はメンターの存在とツールの活用が経験を加速し価値創出につながること、を示してくれた。課題をひとつずつ解決していくことで前進し、新規事業の創出につなげている様子は、聴衆にもヒントや勇気を与えてくれたのではないだろうか。