ファイル共有をスムーズに安全に行うことで、企業のビジネス価値を上げる
Boxは、クラウド上で安全にファイルを共有し社内外とコラボレーションするためのサービスだ。Dropboxのようなファイル共有サービスに加え、ファイルのプレビューや共同編集、コメント付与、タスク割り当て、閲覧制限などのコラボレーション機能があり、さらに、管理コンソールを使ってユーザーやログ、機能の管理を行える。2005年にAaron Levieが創業し、8年あまりで個人ユーザー2000万人超、企業ユーザー18万社超、フォーチュン500の97%が利用するサービスへと成長した。
Boxのエンタープライズ担当シニアバイスプレジデント、ホイットニー・バウク(Whitney Bouck)氏によると、最大手顧客は5万ユーザーが利用している仏シュナイダー・エレクトリックで、日本企業のユーザーとしては、ソニーやトヨタ自動車がある。ソニーではエレクトロニクス部門やエンターテインメント部門でのコラボレーションに、トヨタ自動車ではiPadアプリ使ってエグゼグティブが顧客向けのプレゼンテーションに使用している。
国内では、今年8月からサービスを開始し、企業向けにはBox BusinessとBox Enterpriseの2つの有料プランを提供してきた。価格はBox Businessの場合で1ユーザー月およそ2000円から、Box Enterpriseの場合で1ユーザーおよそ4000円から(いずれも年間契約の場合)となっている。
バウク氏は、Boxのビジョンについて、「ファイル共有をスムーズに安全に行うことで企業のビジネス価値を上げることが我々のビジョン。モバイルデバイスとクラウドの普及でビジネス環境が大きく変化している。既存のインフラをクラウドと統合できるようにすることで、企業のビジネス価値向上を支援する」と、企業向けのコラボレーションツールであることを強調した。そして、実際に成長を続けてきた背景には4つの理由があるとし、次のように説明した。
「1つめは、既存インフラをリプレリースするニーズに応えたこと。ファイルサーバやFTPをクラウドに移行することで企業はコストを下げることができた。2つめは従業員の生産性向上につながったこと。パートナーや顧客など社外とのコラボレーションが増えるなかで、我々は組織を超えた共有のワークスペースを提供できた。3つめはエンタープライズグレードのセキュリティを確保したこと。ユーザー管理、ログ管理、モバイルデバイス管理(MDM)、アプリ管理などが可能だ。4つめは、カスタムアプリを開発して業務アプリケーションとの連携を図るようにしたこと。IT戦略に合わせた拡張可能だ」(バウク氏)
具体的な機能やセキュリティ要件としては、LDAPなどによるシングルサインオン(ID統合)対応や、ユーザーやデバイスの状況を確認できる詳細なアクティビティレポート、7段階のパーミッション制御(閲覧や操作の権限設定)、コンテンツワークフロー、二要素認証などがあることを紹介した。「情報を社外に出すことに対して懸念を抱かない企業はない。我々は、セキュリティに対して強いコミットメントを持って取り組んでいる」(同氏)。
こうしたセキュリティ機能のほかにも、データセンターで監査基準「SSAE16 SOC-1 TypeII」に準拠した運用、システムの分散配置、コンテンツの暗号化(256bit-AES)と6重バックアップに取り組んでいる。