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ドラッカーが語る、現代でも有効な「イノベーションの原則」と「組織での体系的な取組み」

(第8回)イノベーションに効く翻訳書04:『イノベーションと企業家精神』 

予期せぬ出来事を機会とみなす

 イノベーションの可能性が最も高いのは「予期せぬ出来事」が起こった時だ。たとえば、医療機関向けに開発した新しいシステムがあるとする。しかし、フタを開ければ医療現場とは無縁の大学や企業の関係者から問い合わせが入るようになった。

 これは、当初の予定からすれば「予期せぬ出来事」である。この事実をどう認識するかが、イノベーションの実現を左右する。

 1つ目の認識は、予期せぬ出来事を貴重な機会とみなすものだ。

「医療機関ではなかったが、弊社のシステムに対するニーズを確認できた。大学や企業の要求に合わせて、システムをカスタマイズすべきだ」

 もう一方の認識は、予期せぬ出来事を無意味な現象とみなすものだ。

「これは医療機関を対象にしたシステムだ。大学や企業には向いていない。つくり直すのもコストがかかる」

 前者の認識であれば、電話の対応はたとえば次のようになる。

「申し訳ありません、現在の弊社システムは医療機関を想定したものとなっています。御社が想定される利用シーンなど詳しくお伺いした上で、カスタマイズさせていただければと思います。直接お会いしてお話をお伺いしたいのですがご都合はいかがでしょうか?」

 一方、後者であればどうだろうか。

「申し訳ありませんが、弊社のシステムは御社には不適切かと思われます。ご理解頂ければ幸いです」

予期せぬ出来事に対する、異なる認識方法
図1:予期せぬ出来事に対する、異なる認識方法

 どちらがイノベーションを起こすきっかけをつかむだろうか?前者の認識だ。至極当然に思えるかもしれないが、実際に自社が思い入れを持った製品やサービスに対して予期せぬ出来事が起こると、大抵は無視したくなる。

 なぜか。予期せぬ出来事は腹立たしいからだ。予期せぬ顧客、予期せぬ評価、予期せぬ使い方・・・。どのようなものであれ、計画段階での想定と違う現実が現れた場合、素直に計画の誤りを認めるのは難しい。

 しかし、予期せぬ出来事はリスクや苦労が少なくイノベーションを起こすことにつながる。心理的なハードルは高いが、リターンは極めて大きい。予期せぬ出来事からイノベーションを起こした例として、ハイアールの洗濯機を紹介したい。

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予期せぬ出来事からイノベーションを起こしたハイアール

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この記事の著者

柏野 尊徳(カシノ タカノリ)

岡山県出身。専門はイノベーション・プロセス。スタンフォード大学d.schoolでイノベーション手法:デザイン思考を学ぶ。同大学発行の『デザイン思考家が知っておくべき39のメソッド』監訳など、デザイン思考関連教材は公開6ヶ月でダウンロード5万件。岡山大学大学院で3年間教鞭を執った後、慶應義塾大学SFC(湘南藤...

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