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統計学よりも実体験、アナリストはシナリオを追いかけろ―アイレップ 生嶋友貴さん


 今回登場いただくのは、株式会社アイレップのアナリティクスチームでアナリストをしている生嶋友貴さん。学生時代の専攻は国際社会学。国際問題や宗教、環境などを学んだが、就職には活かしにくい分野である。学部生の半分は留学生、英語で行われる授業も多く卒業後は海外へ飛び立つ人もいた。一方でITとは無縁の世界、なのでIT分野に就職するとは考えていなかった。

データ解析を活用してWebをデザインする仕事から始まった

株式会社アイレップ アナリティクスチーム アナリスト 生嶋さん
株式会社アイレップ アナリティクスチーム アナリスト 生嶋友貴さん

 「デザインに興味があり、 漠然とデザインの仕事がしたいなと思っていました」

 そんな生嶋さん、地元京都の就職セミナーに参加。そこで出会ったのがとあるWeb制作会社だった。この会社は使う人のことを考えたWebサイトの設計を得意とし、解析データを使って理論的なWebデザインをするとのことだった。

 「『ユーザー行動を科学する」という話にビビッときました。やりたかったデザインにも繫がるので応募しました」(生嶋さん)

 採用され、最初の仕事はWebディレクター。Webサイトの運用、設計、進行管理、さらには営業まで現場仕事を幅広く任された。

 「日々さまざまな仕事をこなしている中でも、最初に興味を持ったデータ解析にはこだわりがありました。だから、常にデータには積極的に触れるようにしていました。当時はWebサイトへのアクセス解析が始まったばかり。Google アナリティクスも出始めで、滞在時間やCVR(Conversion Rate)が分かるくらいでした。そんな中で、アクセス解析結果も含めたWebディレクションを心がけていました」

 こうした仕事が4年ほど続く。経験の中で感じたのが、「自分が作るものに何らかの根拠が欲しい」と言うこと。そのためには、データ解析スキルをさらに身に付け自分の武器にしたいと考えた。

 「データを素早く読み解いて考察する。考察部分は人の解釈です。解釈の引き出しを増やし精度を上げる。これらはなかなか難しいものがありました。当時はとにかく数をこなして、実践で経験を積むしかありませんでした」

 統計学の勉強をしようとはあまり思わなかった。統計的な分析は、ツールを使えばある程度解決できたから。むしろ実践に重きを置き、たとえば実際に人がどのようにWeb画面を見ているかを解析するアイトラッキングテストなどにも携わった。そこから得られた定性データを集計し、定量的なアクセスデータなどと合わせて解析する。人の行動を現象として捉え、Webにやって来る人をきちんと把握する。その結果を踏まえWebサイト内の最適化を行っていた。

 この実践的なアプローチにも壁はあった。すべてがうまく説明できるわけではなかったのだ。もっとデータ解析のスキルを身に付けたい。悩んだ末に会社を辞めることに。そこからはフリーの立場で、データ解析に注力した仕事へと軸足を移す。主に前職の会社から依頼を受け、Webサイトデータを解析しレポートする業務を行った。

 「この時に感じたのが、Webサイトの制作は分かっていたけれどマーケティングや集客手法は分かっていないということです。Webサイトの中のことは把握できるけれど、その外は分からなかったのです」

 もっとWebの外にも目を向けなければ。外部からオンライン集客などを行える仕事、それを経験できるところはどこか。そう考え思い浮かんだのが広告代理店だった。次のステップでは、広告代理店で経験を積むことにした。

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サイト設計に活かすまでがアナリスト

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

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