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EMCとDELLの統合は「双方のいいとこどり」――EMC World 2016


 EMC World 2016が米国ラスベガスで開幕した。今回のイベントが16回目、テーマはMODERNIZEだ。既存のシステムをMODERNIZEし、データセンターをMODERNIZEする。MODERNIZEにより効率化を行い、それで削減されるITコストを第3のプラットフォームで実現する新たなイノベーションに投資する。そうすることでビジネスそのものをMODERNIZEするという流れだ。

EMCのCEO トゥッチー氏が後継者に選んだのがマイケル・デル氏だった

 初日のゼネラルセッションに登場した、チェアマンでCEOのジョー・トゥッチー氏。EMC Worldというイベントがもっとも好きなイベントだという。

EMC CEOのジョー・ツッチー氏

EMC 
CEO ジョー・トゥッチー氏

 「EMCは今、DELLとの統合の真っ最中です。今後は政府からの認証や株主の合意も必要です。今日はこれから、統合後の新しいビジョンについて話します。これから素晴らしいことが始まります。EMCとDELLの合併には、ここに集まっている皆さんも重要な一部です。顧客もパートナーも重要で、成功させるのは皆さんなのです」(トゥッチー氏)

 なぜEMCは合併するのか、なぜDELLなのか。そして、どうして今なのか。トゥッチー氏によれば、人生に2度か3度、状況が一変するようなタイミングがある。たとえば産業革命であったり、コンピュータが登場した瞬間であったりだ。今はデジタル変革が急激に進み、これは「産業革命も小さく感じさせるほどのもの」(トゥッチー氏)である。

 何10億ものスマートフォンがつながり、さまざまなリモートデバイスも登場している。そこからものすごい量のデータが生まれ、企業はそれらを収集し分析して、結果からサプライチェーンを効率化するなど工夫する。これはビジネスモデルそのものが変わることであり、ものの売り方が変わる。そのためのパワーとなるのがソフトウェアであり、開発はアジャイルでなければならない。そういったものを手に入れることで、企業は競争力を得る。

 「こういった変化の中で、EMC自身が変わらなければならないと考えました。そして、DELLと共にデジタル化に対応する、特別なものを作ろうとの話になったのです。EMCとDELLが提供する製品やソリューションで、皆さんのデジタル化へのアジェンダを支援します。皆さんがデジタル化で成功できるようにします」(トゥッチー氏)

 トゥッチー氏はEMC Worldが大好きだと言い、参加者にお礼の言葉を贈った。会長、CEOとしてステージに立つのはこれが最後になるだろうとも言い、今後第一線から退くこともほのめかした。最後に「我々にとって素晴らしい、最高な年がこれから待っています。そのために、私も最大の支援をします」と言うと、会場に集まった参加者はスタンディング・オベーションで応えた。

EMCとDELLは補完関係にある

 トゥッチー氏に続きステージに登場したのは、DELLのCEOであるマイケル・デル氏だ。彼は2社の統合で「皆さんのために新しいテクノロジーの会社を作ります」と宣言する。

 「DELLとEMCは、1つになることで、クラウドインフラの会社になります」ともデル氏は言う。DELLとEMCが一緒になることの意味として、両社が補完関係にあることを挙げた。2社が補完することで次世代のデータセンターに必要なすべてのものを提供できる。これで従来のITを効率化でき、効率化により節約できる予算を次世代のデータセンターのために投資する手伝いも、統合された新たな会社では行える。「データセンターに大きな価値を提供できます。これができるベンダーは他にはいません」と言い、EMCとDELLのすべてが世界最高のレベルのサービスだと自信を見せる。

 この両社の補完関係の1つは、顧客のカバー領域だ。DELLはミッドマーケット以下に強くEMCはエンタープライズに強い。これですべての顧客層をカバーできる。さらにDELLにはグローバルなサプライチェーンがあり、統合により世界最大のエンタープライズなグローバルサプライチェーンが誕生することになる。

 もう1つデル氏が指摘したのは、セキュリティの重要性だ。デバイスやノードが増えておりデータの価値も上がっている中、すべてがデジタル化することになれば脆弱性も増え攻撃も増えることになる。セキュリティ対策は高度化しており、それに対応するためにRSAやSecureWorks、SonicWALLといった新たなファミリー企業で対処することができると言う。

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統合後の会社名はDELL TECHNOLOGIES

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この記事の著者

谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーターかつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジャーナリスト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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