
サービスの「SDx (Software-Defined anything)=ソフトウェア定義」化を進めているNTTコミュニケーションズは、12月12日にプレスやアナリスト向けに「SDx業界動向勉強会」開催した。2012年ごろにネットワークから始まったSD化の波は、いまやインフラ全般にまで及んでいる。その中でも今回はSD-Exchange、SD-WAN、SD-LAN、マネージドサービスという話題に絞り、SDxの現況、および同社での取り組みなどについて、技術開発部部長の山下達也氏が登壇し、解説した。
SD-WAN市場は2020年に60億ドルまで拡大
NTTコミュニケーションズで技術開発部部長を務める山下氏は、「90年ぐらいからずっとインターネットの技術を追いかけてきた」と語り、SDxの概要説明に入った。山下氏が委員を務めているInteropで、SDxがShowCaseに登場したのは2012年だという。OpenFlow ShowCaseとして、OpenFlowにおける相互接続が披露された。翌13年にはSDN ShowCaseではSDNがネットワーク運用にどう使えるか、14年には「SDNを用いた新しいInternet eXchengeへの挑戦」、15年にはSDN/NFVと連携したトラフィック制御やセキュリティ機能の実用化、そして今年は高速パケットI/OやサウスバウンドAPIの活用にまで実用化が進んでいるという。

NTT コミュニケーションズ 技術開発部長 山下 達也氏
いまやSDxの定義はマルチクラウドやアドテク、OpenStack、vEPCなどにも広がっており、「なんでもかんでもSDxとなっている」と語る。
昨年度から急速に、SDxがキーワードとして注目されているように、SDxの市場も大きく拡大。IT調査会社のIDCの調査によると、「世界のSD-WAN市場は15年に2億2470万ドルとなり、2020年までに60億ドル規模に達する試算している」という。もちろん国内SDN市場も拡大しており、15年には201億円に到達。山下氏が面白いと注目するのが、「キャリアによるSD-WANサービスのマネージドサービスの伸びが期待されていることだ」と語る。
SD-WANの市場が拡大している背景には、「WANの構築・管理をユーザー自身が主導権を持って行えるからだ」と山下氏。これまでのように通信事業者が提供する専用線やIP-VPNなどの拠点間通信網では、高度な専門知識を持った技術者が必要だったが、SD-WANは誰もがネットワークを扱えるようにすることを目的としており、高度な専門知識は不要で、ビジネスの要件に応じて回線選択の幅が広がるからである。つまり、SD-WANは「ネットワークの民主化」(Open Networking)だと山下氏は述べる。
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中村 仁美(ナカムラ ヒトミ)
教育大学卒業後、大手化学メーカーに入社。その後、ビジネスや技術に関する専門雑誌や書籍を発行する出版社、ITに特化したコンテンツサービス&プロモーション会社を経て、2002年、フリーランスライターとして独立。
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