SD-WAN市場は2020年に60億ドルまで拡大
NTTコミュニケーションズで技術開発部部長を務める山下氏は、「90年ぐらいからずっとインターネットの技術を追いかけてきた」と語り、SDxの概要説明に入った。山下氏が委員を務めているInteropで、SDxがShowCaseに登場したのは2012年だという。OpenFlow ShowCaseとして、OpenFlowにおける相互接続が披露された。翌13年にはSDN ShowCaseではSDNがネットワーク運用にどう使えるか、14年には「SDNを用いた新しいInternet eXchengeへの挑戦」、15年にはSDN/NFVと連携したトラフィック制御やセキュリティ機能の実用化、そして今年は高速パケットI/OやサウスバウンドAPIの活用にまで実用化が進んでいるという。
いまやSDxの定義はマルチクラウドやアドテク、OpenStack、vEPCなどにも広がっており、「なんでもかんでもSDxとなっている」と語る。
昨年度から急速に、SDxがキーワードとして注目されているように、SDxの市場も大きく拡大。IT調査会社のIDCの調査によると、「世界のSD-WAN市場は15年に2億2470万ドルとなり、2020年までに60億ドル規模に達する試算している」という。もちろん国内SDN市場も拡大しており、15年には201億円に到達。山下氏が面白いと注目するのが、「キャリアによるSD-WANサービスのマネージドサービスの伸びが期待されていることだ」と語る。
SD-WANの市場が拡大している背景には、「WANの構築・管理をユーザー自身が主導権を持って行えるからだ」と山下氏。これまでのように通信事業者が提供する専用線やIP-VPNなどの拠点間通信網では、高度な専門知識を持った技術者が必要だったが、SD-WANは誰もがネットワークを扱えるようにすることを目的としており、高度な専門知識は不要で、ビジネスの要件に応じて回線選択の幅が広がるからである。つまり、SD-WANは「ネットワークの民主化」(Open Networking)だと山下氏は述べる。