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SD-WANの完璧な製品はまだない。個々のニーズに合わせて最適な製品の選定を

edited by Operation Online   2017/01/12 07:00

SD-WANソリューションを提供するベンダーも多数登場

 北米ではすでにSD-WANの採用が広がっており、モルガン・スタンレーなどの大手金融、GEなどの製造、GAPなどの小売業者などの幅広い企業が参画してネットワークのオープン化を目指すユーザーコミュニティ「Open Networking User Group(ONUG)でもSD-WANは注目のキーワードとなっている。中でも世界3500店舗を展開するGAPは15年にSD-WANの採用を発表、すでに運用を開始しているという。

 また、SD-WANの提供ベンダーも多数登場している。Velocloud(ベロクラウド)、VERSA(ヴァーサ)、Viptela(ヴィプテラ)、cradlepoint(クレイドポイント)というソフトウェア的なアプローチでソリューションを展開するベンダーに加え、従来、通信機器を提供してきたシスコやリバーヘッド、シトリックス、ジュニパーなどもSD-WANソリューションの提供を開始している。

 「前者は直接ユーザーに、後者のハードベンダーは通信事業者である私たちに売り込みをかけている状態だ」(山下氏)。例えばBTやAT&TなどはこれらSD-WANベンダーと連携し、SD-WANサービスを提供しつつあるという。

SD-WANの機能を満たす完璧な製品はまだ登場していない

 ではSD-WANについてNTTコミュケーションズではどのような取り組みを行っているのか。「うちはSD-WANについては後発。だから主要SD-WAN製品を揃えてトライアル環境を提供し、ユーザー企業にさまざまなユースケースで試してもらっている」と説明する。同社がトライアル環境で提供したSD-WAN製品はスライドの通り。

テストベッドに導入したSD‐WAN製品一覧

 ユースケースでの試用を行ったのは、ONUGで定義された10個のSD-WAN主要要件に対して、全製品が合格していたが、実際の運用において、この要件では荒いことが分かったためだ。ユースケースとしては「簡易なクラウド、SaaS接続」「NFV連携」「既存システムからのマイグレーション」の3つのパターンを用意。そこでSD-WANに期待される次の機能を備えているかどうか検証した。

 期待される第一はゼロタッチプロビジョニング。細かく見ると4個の機能があるが、実際に試してみると、動かない機能があったという。第二はセグメンテーション。本番系と開発系など、用途別ネットワークの分離ができることやグループ会社のネットワーク統合などが期待される機能だ。「これもできるものとできないものがあった」と山下氏。第三はハイブリッドWAN。インターネット回線を利用することによるコスト削減、複数回線をACT/ACTで利用することによる帯域幅の増強、パフォーマンスルーティングでQoSの向上などの期待により求められている機能だ。この機能は実用度が高いと感じたという。

 第四はインターネットブレークアウト。クラウド上のアプリケーションへのアクセス向上やインターネットトラフィックのオフロードが期待される機能だ。「ファイアウォールのマネジメントなども任されるが、それをどこにどう入れるかなど、ぼやっとしている」と山下氏。このように「SD-WANの世界において、まだ完璧な製品は現時点ではない」と山下氏は言い切る。したがって各製品の強み弱みを理解し、「個々のニーズに合わせて最適な製品を選定する必要がある」とまとめた。


著者プロフィール

  • EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)

    「EnterpriseZine」(エンタープライズジン)は、翔泳社が運営する企業のIT活用とビジネス成長を支援するITリーダー向け専門メディアです。データテクノロジー/情報セキュリティの最新動向を中心に、企業ITに関する多様な情報をお届けしています。

  • 中村 仁美(ナカムラ ヒトミ)

    教育大学卒業後、大手化学メーカーに入社。その後、ビジネスや技術に関する専門雑誌や書籍を発行する出版社、ITに特化したコンテンツサービス&プロモーション会社を経て、2002年、フリーランスライターとして独立。

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