国内データセンターにおける導入は進まず、2016年の市場規模は約9億円
DCIMとは、データセンターやサーバールーム内のICT機器(サーバー、ストレージ、ネットワーク機器など)や電源装置、空調設備、サーバーラックなどの管理を行うパッケージソフトウェアのことで、これらの機器や設備の資産管理、変更管理とともに、消費電力の監視、サーバールームの温度監視などによって、データセンター内の機器や設備の運転状況や稼働状況を一元管理するための機能を備えている。今回の調査で2016年の国内DCIM市場の規模はわずか約9億円となることがわかった。
データセンター運用効率改善や電力コスト削減の手段として、2013年ごろから国内で本格的に販売が始まったDCIMだが、国内データセンターではまだ導入が進んでいない。その理由として、DCIM導入効果の評価が容易ではないことがある。
DCIMによってデータセンター運用コスト削減効果がどの程度達成できるかは、導入後すぐには明らかにならない。電力コストの削減効果に至っては、春夏秋冬を通じた冷却コストの評価を実施する必要があるため、最短でも導入後1年経過しないと導入効果を客観的に評価できない。
しかし、今後は国内データセンターでもDCIM導入が緩やかに加速するとみている。データセンターサービス市場の競争は激化しており、データセンター事業者におけるデータセンター建設コストの回収が厳しくなっている。
業者データセンターを中心に導入が進み、2021年市場規模は約35億円に
同時にデータセンターにおけるクラウド環境の実装拡大は、より多くの電気設備や冷却設備を要求するため、データセンターの建設コストは上昇する傾向にある。このため事業者データセンターでは、データセンターキャパシティを無駄なく効率的に利用する必要に迫られるようになり、DCIMはそのためのツールとして活用されることになると、IDCではみている。
2021年の国内DCIM市場は約35億円で、2016年~2021年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は30.5%と予測している。
ただし、当面のDCIM導入はデータセンター運転状況の可視化を目的としたものが多い傾向が続く。「DCIMの導入効果をフルに実現するためには可視化するだけでは足りない。可視化された運用状況データを分析し、その結果を運用プロセスに組み込むことが重要である」と、IDC Japan ITサービス リサーチマネージャーの伊藤未明氏は分析している。
今回の発表はIDCが発行したレポート「国内データセンターインフラストラクチャマネジメントソリューション市場予測、2017年~2021年」にその詳細が報告されている。