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業務プロセスの可視化による業務分析講座

業務プロセスの可視化

第0回

本稿では、業務プロセスを可視化する方法について解説します。まず、本稿の全体像と作図演習の進め方を確認しておきましょう。

はじめに

 「情報システムが使われる業務環境を整理したい」「内部統制において、業務上のリスクを識別し、リスクに対するコントロールを設定したい」……。このような目的を満たすためには、業務プロセスの可視化が効果的です。

 本稿では、業務プロセスを可視化する方法について、1つの方法論を提示したいと思います。今回は、本稿の全体像と作図演習の進め方について紹介します。

本稿の全体像

 最初に、本稿の全体像について確認します。

本稿の目的

 本稿の目的は、業務プロセスの可視化手法を学ぶことです。業務プロセス(仕事の手順)を目で見える形にすることを、本稿では「業務プロセスの可視化」と呼びます。業務プロセスを可視化する目的として、以下が挙げられます。

  • 業務の問題点を発見するため
  • 情報システムが使われる文脈を定義するため
  • 業務マニュアルを作成するため

 本稿では、これらの目的を実現する手段として、「業務フロー図」の記述方法について述べようと考えています。本稿の読者は、演習を通じて、図を用いた「業務プロセスの可視化」の手法を習得できます。

 図を用いた可視化手法には、以下のような利点があります。

  • 業務プロセスの詳細について考察しやすい
  • 業務プロセスの詳細について議論しやすい
  • 業務プロセスの詳細を相手に伝達しやすい

 ひとりで業務プロセスの詳細を考察する場合や、複数人で業務プロセスの詳細を議論する場合、さらに、だれかに業務プロセスの詳細を伝える場合には、図を使うのが効果的です。

図1:図の効果
図1:図の効果

 文章で業務プロセスを可視化するとしたら、以下のような記述が必要です。ここでは、電話で注文を受ける場合について考えてみましょう。

 最初に、顧客が電話で弊社に商品を注文する。そこで、弊社の営業担当者は商品の名称と数量を顧客に聞く。次に、営業担当者はその商品の在庫を確認する。在庫があるとき、営業担当者は顧客に発送予定日を伝える。もし、在庫がないとき、……。

 文章は、文字が出現する順番で理解できます。しかし、文章による可視化では、その業務の全体が見えにくいものです。また、文章には、「が」「で」「に」「を」「の」「は」という助詞や、「最初に」「そこで」「次に」「もし」といった副詞や接続詞が存在します。文章には無駄があります。

 図には、一般的に必要最小限の情報だけが盛り込まれます。また、言葉の重複を回避できます。これらの理由で、図は、物事についての考察、議論、伝達にとって有効です。

対象読者

 本稿の読者としては、以下のような方を想定しています。

  • 将来、「業務プロセスの可視化」を実施する方
  • 「業務プロセスの可視化」について、従来からの手法を改良したい方

 何らかの仕事において「業務プロセスの可視化」にかかわる方はすべて、本稿の読者です。

到達目標

 本稿の到達目標は、以下のとおりです。

  • 読者が業務プロセスを図示できること、および、第三者がその図によって業務プロセスを理解できること

 業務プロセスを図示するといっても、その図示の程度が問題です。図を書いた人しか業務プロセスを理解できなければ、図の意義は低いです。また、業務プロセスに熟知している人ならば、図の理解度が高いのは当然です。したがって、図を書いた人でもなく、業務プロセスに熟知している人でもない第三者が、読者の書いた図を理解できることが重要です。

前提条件

 本書の前提条件は、特にありません。ただし、ペンやノートで図を書くなら、問題はありませんが、何らかのツール(ソフトウェア)を使って図を書くなら、ツールの知識が必要です。

 なお、図を書くツールとしては、まずはMicrosoft Excelを使ってみましょう。Microsoft Visioなら、いっそう図を書きやすいでしょう。

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業務プロセス

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この記事の著者

筒井 彰彦(ツツイ アキヒコ)

某SIerに勤務。これまで、業務アプリケーションの開発、モデリングツールの導入支援、コースウェア(ソフトウェア開発プロセス、オブジェクト指向モデリング)の企画・開発等に従事。最近は、内部統制プロジェクトに参画。技術士(情報工学部門)。主な著書に『7つの要素で整理する業務プロセス』『5つの要素で整理す...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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