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今こそオープンソースのデータベースを検討すべき理由がある

edited by DB Online   2018/02/05 06:00

 高い信頼性、可用性、安定性が求められることから、多くの企業がデータベースシステムにはOracle DatabaseやMicrosoft SQL Serverなどの商用製品を利用している。一方で同じように高い信頼性、安定性が求められるOS領域では、既にLinuxが利用されるのは当たり前。Microsoftさえも自社クラウドサービスAzureで、Linuxを動かすことをむしろ推奨するかのような活動も目立つ。

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データベースもオープンソース・ソフトウェアを選ぶ敷居が大きく下がっている

 データベースシステムに関しては、実績を重視し商用製品を使い続けてきた長い歴史がある。しかしここ最近になり、PostgreSQLやMySQLなどオープンソースのデータベースへの関心が一気に高まっている。これは、商用データベースの高いコストに不満を持つことなどがきっかけだろう。さらに、これらオープンソースのデータベースがどんどん進化し、基本機能や性能などが商用データベースと遜色なくなってきたこともある。

 またビッグデータ活用が話題となり、注目を集めたNoSQLのデータベースのほとんどがオープンソースのソフトウェアであり、こんなところからもデータを蓄積し活用する領域でオープンソースのソフトウェアを使う敷居を大幅に下げているかもしれない。

 よほど高度な可用性でも求めない限り、新規で構築するシステムのデータベースにオープンソース・ソフトウェアを選択してもそれほど苦労することはないだろう。一方で利用実績が増えているとは言え、既存の商用データベースをオープンソースに乗り換えるのはそう簡単ではない。

 これはデータベースが変われば、多くの場合その上で動くアプリケーションも変更することになるからだ。どんなに互換性の高いデータベースを選んでも、既存の商用データベースと全く同じとはいかない。適宜SQLを書き換えたり、アプリケーションのプログラムコードを変更したり、場合によってはデータベースのロックの動きが異なることからプログラムロジックを変更する必要もあるかもしれない。これらはできることなら避けたいのが情報システム部門の意向だろう。

 仮にデータを移行するだけで済むようなシステムの場合でも、移行後のテストはしっかり行う必要がある。高い信頼性を求められるシステムの場合なら、かなりレアなケースについてもテストが必要となり、これには相当な手間と時間がかかる。移行の手間やコストを憂慮し、商用データベースからの移行を躊躇する話はよく耳にする。

 もう一つ注意するべきなのが、移行後の保守運用の体制だ。商用データベース製品なら、費用はかかるもののベンダーが提供するサポートサービスが十分に用意されており、なんらか問題が発生する前に対応するプロアクティブなサポートも期待できる。障害が発生した際の問題の切り分けなども、ベンダーのサポート担当者に任せることもできるだろう。

 一方でオープンソースのデータベースを選択した場合には、ライセンスコストやサポートコストは安くはなるが、問題が発生した際にはある程度自分たちの手で解決できなければならないだろう。バグやパッチなどの情報も自分で集めなければならず、パッチをいつ適用すべきかも自ら判断する必要がある。選んだオープンソースのデータベースが今後どんな進化をするかを把握するために、積極的に開発コミュニティに参加する必要もあるかもしれない。

 またベンダー製品であれば、専用の管理ツールやバックアップの仕組みなども用意されており、基本的にはそれらを採用することで運用管理はかなり楽になるはずだ。一方でオープンソースのデータベースの場合は、管理ツールやバックアップの仕組みなどはまだあまり充実していないことが多い。別のコミュニティが開発するオープンソースのソフトウェアや3rdパーティー製のツールなどもあるが、将来性なども考慮しながら自分たちで適宜選択し、組み合わせた際の動作検証なども自ら行う必要がある。

ITシステムの内製化とパートナー選択が鍵に

 商用からオープンソースへの移行について、少しネガティブな指摘をしてしまった。しかしながら、移行をやめるべきだと言うつもりは毛頭ない。商用製品に比べライセンスコストなどはあきらかに安くなるので、そのメリットを享受することは、情報システム部門にとっては極めて大きなメリットだろう。そこで浮いたコストを、新たな戦略IT投資に回すこともできる。

 とはいえ、オープンソースのソフトウェアを選べばコストが下がると同時に、新たなリスクや手間が増えるかもしれないことは十分に理解しなければならない。この時にリスクを少しでも下げることにつながるのが、選ぶソフトウェアの情報がどれだけたくさんあり、それが入手しやすいかだろう。市場で実績が多ければ製品としては枯れていて、バグ情報なども充実し安定した稼働が望める。

 さらに、そのオープンソース・ソフトウェアを担ぐSIerなどの存在も重要だ。オープンソースのソフトウェアを選べば、ある程度はITシステムの内製化を覚悟する必要がある。そのために選んだソフトウェアの知識やスキルを持つエンジニアを、社内に確保すべきだろう。

 その上で、選ぶオープンソース・ソフトウェアに対し高い技術力のあるパートナー企業を見つけることも大事だ。すべてを自分たちでやろうとすれば、選んだ方法が正しいかどうかを判断するのも自分たちだけになってしまう。適宜外部の目で評価してもらい、適切なアドバイスをもらえる存在を見つけておけば、新たなチャレンジでも安心感は大きい。

 選ぶべきパートナーとしては、オープンソースのデータベースを活用するコンサルティングサービスや独自のサポートサービスを提供していたり、企業としても積極的にオープンソースコミュニティに参加していたりするような企業が良いだろう。

 さらにその企業が対象のオープンソース・ソフトウェアについて、積極的に情報発信しているかどうかもチェックポイントとなる。オープンソースのソフトウェアのような世界では、情報発信している人や組織に最新情報が集まってくる傾向があるからだ。

 そして最後に1つ付け加えたいのは、データベースの移行のきっかけがライセンスコストの削減という少し後ろ向きな理由だったとしても、できれば選ぶソフトウェアを利用したくなる積極的な理由が欲しいところだ。たとえばPostgreSQLなら得意な地理情報システムや全文検索のシステムで活用する、MySQLならばレプリケーションを利用した大規模なスケールアウト構成の実現や、安価に災害対策や高可用性の仕組みを構築するなどなど。せっかく選んだソフトウェアなのだから、安いから仕方がなく使うのではなく特徴や良さを最大限に引き出し大いに活用する。そうすることが、結果的にオープンソースのデータベースを安定し高い信頼性のもとに運用することにつながるだろう。

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著者プロフィール

  • 谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

    EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーター かつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジ...

  • DB Online編集部(ディービーオンライン ヘンシュウブ)

    DB Online編集部 翔泳社 EnterpriseZine(EZ)が提供するデータベース/データテクノロジー専門メディア「DB Online」編集部です。皆様からの情報お待ちしています。 Twitter : https://twitter.com/db_online Fac...

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