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Salesforceが考える、AI活用の「お膳立て」とは?

edited by DB Online   2019/01/30 14:45

 AI、機械学習は2019年も引き続き注目キーワードで間違いない。とは言うものの、AIや機械学習技術がビジネス現場で大いに効果を発揮している事例はそれほど多くない。世間には「PoC疲れ」と言った言葉もあり、AIや機械学習、さらにはIoTなどの新しい技術の概念実証実験が繰り返されているが、それらをビジネス成果にはなかなか結びつけられていないのだ。

 そのような中、いち早くAIや機械学習の効果を享受できるのが、ベンダー提供のアプリケーションの中でAI技術を利用したときだ。Oracleでは、機械学習技術を使いデータベースをオートノマス化している。SAPもERPの中で機械学習技術を用い、たとえば膨大な数の請求書と納品書を突き合わせ自動消し込みをするといった機能を提供する。また国産会計ソリューションのfreeeでは、仕分けの自動振り分けにAI技術を活用している。同じように自社のSaaSの中で積極的にAI、機械学習技術を活用しているのがSalesforce.comだ。

セルフBIと言うけれど…

 「セルフBI」という言葉があり、誰でも簡単にデータ分析ができるようにするツールが登場している。とはいえ誰かがお膳立てをしておかなければ、ビジネス現場の人たちが安全かつ自由にデータを扱えるようにはなかなかならない。また、仮にセルフBIでビジネス現場のデータの見える化などが簡単に行えるようになったとしても、そこから得られた知見を活用して具体的な次なるアクションを起こすのは簡単ではない。

 これに対し、Salesforceでは、まずSales Cloudなどの画面の中から簡単に状況のレポートなどができる仕組みを提供した。さらにそこに外部データなども取り込み、より複雑なデータの見える化や傾向分析なども可能にしてきた。加えてAI、機械学習の技術で顧客の行動や今後の売上げ変動などの予測までもが行えるようにした。そのために自社でAIの研究開発組織「Salesforce Research」を設置し、そこで得られた成果をSalesforceに組み込むことも行っている。

 さらに実績あるAI技術の買収も行い、それらをSalesforceとインテグレーションして利用できるようにもした。その1つが、BeyondCoreの買収で実現したEinstein Discoveryだ。これを使えばSales Cloudの中で、今後の顧客の行動などが予測できるようになり、その結果から営業担当が次に何をすべきかのアドバイスも可能となった。

 そしてこのEinstein DiscoveryをよりSalesforceのサービスと融合してさらに使いやすくするため、Salesforceのプラットフォーム上でネイティブに利用できるようにしたのが「Einstein Analytics Plus」だ。セールスフォース・ドットコム マーケティング本部 プロダクトマーケティング シニアマネージャーの大森浩生氏は、「アナリティクスの結果を、アクションに結びつける必要があります。Einstein Analytics PlusでアナリティクスがSalesforceプラットフォームに乗ったことで、それが実現できるようになりました」と語る。

 
セールスフォース・ドットコム マーケティング本部
プロダクトマーケティング シニアマネージャー
大森浩生氏

 Einstein Analytics Plusでは、Salesforceに蓄積されたデータからインサイトを発見し、そこから予測を行う。さらに得られたインサイトを使えるようガイダンスも表示する。これらが、1つの製品として提供されるのだ。これは2018年の年次カンファレンスDreamforceで発表されたもので、今回正式に製品としての提供が始まった。

 Einstein Analytics Plusを使えば、Sales Cloudなどのレポートの中でもAI機能が簡単に誰でも使えるようになる。たとえば条件に合ったリストを表示するだけでなく、その中からデータの傾向を見て自動で分析し、Einsteinが解釈した結果をインサイトとして提示する。またSalesforceに蓄積されたデータとSalesforce以外のデータを組み合わせて相関性があるかなども自動分析できる。得られたインサイトからさらにドリルダウンして、データを深掘りする分析も容易だ。さらに、欠損値をAI機能で自動修復するとこともできる。

 このEinstein Analytics Plusでは「AIが出した結果に対し、分かりやすい解説を行います。説明のつく結果を提示するようにしているのです」と大森氏は言う。AIでたんに予測するだけでなく、何故その答えが出たのかを明らかにするのだ。

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著者プロフィール

  • 谷川 耕一(タニカワ コウイチ)

    EnterpriseZine/DB Online チーフキュレーター かつてAI、エキスパートシステムが流行っていたころに、開発エンジニアとしてIT業界に。その後UNIXの専門雑誌の編集者を経て、外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などの業務を経験。現在はフリーランスのITジ...

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