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Analytics Experience 2019レポート

アナリティクスの「ラストマイル」問題を解決する「SAS Open Model Manager」全貌

 AIおよびアナリティクスソフトウェアのリーダー企業SAS Institute(以降、SAS)は、10月21日から23日にかけてイタリア・ミラノにてカンファレンス「Analytics Experience 2019」を開催した。この記事では同イベント内22日のメディアブリーフィングで発表された「SAS Open Model Manager」を紹介する。

アナリティクスのラストマイル問題とは?

 SASのAIソリューションは、顧客それぞれの要件に基づき、データドリブンテクノロジープラットフォームを提供するものである。同社の戦略の焦点は、エンドツーエンドのプロセスマネジメントを重視していることだ。AIはテクノロジーではあるが、ビジネスパフォーマンスを改善するための実践プロセスでもあると捉え、アナリティクスプロセス全体のマネジメントの重要性を訴えている。

 本来、AIやアナリティクスのライフサイクルには終わりがない。組織はより良いビジネス成果を得るため、開発したモデルを意思決定プロセスに効率的なデプロイし、改善を繰り返さなくてはならない。図1のように、反復的にビジネスの意思決定に必要なモデルの改善を繰り返すライフサイクルを、アナリティクスをビジネスオペレーション化するという意味を込め、SASでは「オペレーショナライズドアナリティクス」と呼ぶ。

図1:アナリティクスのライフサイクルの全体像(出典:SAS)
図1:アナリティクスのライフサイクルの全体像(出典:SAS)

 ライフサイクルの出発点は、アナリティクスモデルの開発にある。昨今、AIと機械学習の導入が加速しているのは、オープンソースソフトウェアの活用を手軽に行うことができるようになったことが背景にある。確かにデータサイエンティストはこれまで以上に多くのアナリティクスモデルを開発できるようになった。しかし、ほとんどの組織ではモデルからビジネス価値を生み出すことができずに苦しんでいる。

 トム・フィッシャー氏(ビジネスディベロップメント担当シニアバイスプレジデント)は、IDCの調査結果を引用し、「その原因はモデルのビジネスプロセスへのデプロイが効率的にできないことにある」と指摘した。IDCの調査によれば、十分に機能するモデルをデプロイできていると認識する組織は半数に満たない。90%のモデルはデプロイまでに3カ月超、44%のモデルは作成までに7カ月超を費やしているのだという。

トム・フィッシャー氏
トム・フィッシャー氏

 図1で示すアナリティクスのライフサイクルを見ると、「Deploy(デプロイ)」のフェーズはモデルを登録してからビジネスの意思決定プロセスに移るまでの要の位置にある。デプロイに失敗すると、そのモデルは意思決定の役に立たないばかりか、行動した結果を基にモデルの精度を改善する機会まで失ってしまう。これではビジネス部門はデータドリブンな意思決定をスケールさせることはできない。アナリティクスに積極的に投資をしている組織にとって、これは深刻な問題と言えるだろう。

 さらに、アナリティクスモデルとは、一度作成すれば終わりではなく、一つで足りるものでもない。デプロイするまでに複数のモデルを作成し、テストをしてその中から最も良いものを選ぶ必要がある。データサイエンティストが多くのモデルを作成すればするほど、各モデルのバージョン管理が複雑になる。このプロセスが手作業に依存していることでデプロイまでの効率が悪くなるだけでなく、組織の中でのアナリティクスモデルのガバナンスの欠落を招くという問題もある。

 このようなモデルのデプロイに関する様々な問題に着目し、アナリティクスモデルの迅速なデプロイを成功させるソリューション開発に取り組んできたのが、SASの「ラストマイルイニシアティブ」の取り組みである。「イニシアティブのゴールはより迅速にアナリティクスからビジネス価値を生み出せるようにすることにある」とフィッシャー氏は語った。

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解決策の一つはデプロイの効率化

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この記事の著者

冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...

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