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アナリティクスの「ラストマイル」問題を解決する「SAS Open Model Manager」全貌

edited by DB Online   2019/10/31 08:00

ModelOpsのアプローチも重要

 ラストマイルの問題解決で重要なもう一つのポイントがModelOpsである。ModelOpsとは、アナリティクスのライフサイクル全体を通してモデルマネジメントを迅速かつ反復的に行うための包括的なアプローチである。ソフトウェア開発におけるDevOpsのアプローチをアナリティクスモデルの開発と運用に応用するものであるが、ModelOpsはモデルの登録からテスト、評価、デプロイまでのプロセスをできるだけ迅速に行うことに焦点を当てている。

 アナリティクスのライフサイクルは、データサイエンスチームおよびIT部門、ビジネス部門が連携するプロセスでもある。SASはModelOpsのアプローチをSAS Open Model Managerに導入し、モデル開発で利用する言語、アクセスするデータ、モデルのデプロイ環境に関係なく、組織のコラボレーションと生産性の向上を促進することを狙う。

 ここでもう一度図1のライフサイクルを確認したい。

図1:アナリティクスのライフサイクルの全体像(出典:SAS)
再掲:図1:アナリティクスのライフサイクルの全体像(出典:SAS)

 一度、ビジネス部門へデプロイしたモデルは、「Decisions(意思決定)」「Actions(アクション)」「Results(結果)」を経て、再びIT部門に戻る。デプロイのスピードが改善すると、今度はモデルをより良いものにするためのプロセスのスピードも改善しなくてはならない。ModelOpsとは、ビジネス部門からのフィードバックを得て、モデルを改善するもう一つのラストマイル、「Monitor(モニター)」フェーズの問題の解決に焦点を当てた取り組みであると言えるだろう。

 そのために必要になるのが、実運用中のモデルのパフォーマンスを一元的にかつ継続的にモニタリングできる環境である。デプロイ後のモデルは時間の経過と共に劣化するため、常にモデルのパフォーマンスを監視し、モデルを再度トレーニングするか、廃棄するか、全く新しいモデルを開発するかを判断しなくてはならない。

 モデルのデプロイ後、データサイエンスチームおよびIT部門はSAS Open Model Managerが提供するパフォーマンスレポートにアクセスすれば、その判断をより迅速に行うことができるようになる。ModelOpsはビジネス部門に提供するモデルの信頼性を確保するために不可欠なアプローチである。

狙いはビジネス価値獲得のサポート

 既にSAS Open Model Managerを先行利用している企業も存在する。そのうちの一社であるGlobe Telecomは、フィリピンで事業を展開する通信キャリアである。同社は6,500万人の顧客一人ひとりに適切なオファーを提供するため、アナリティクスを活用している。

 その意思決定を支えるアナリティクスモデルは、顧客データを始めあらゆるデータを活用しているが、これまではSASとオープンソース両方の環境で開発しており、デプロイに問題を抱えていた。デプロイまでのプロセスに手作業に依存する部分が多いようでは、顧客とのコミュニケーションの瞬間を捉えることは困難である。

 同社はSAS Open Model Managerを利用し、GlobeはSASとオープンソース環境の両方をシームレスに統合し、デプロイ時間の短縮に成功した。

 レーム氏は、「SAS Open Model ManagerがAIやアナリティクスを活用する組織に以下の3つの価値を提供する」と述べ、SASがアナリティクスへの積極的な投資を促し、もっと多くのビジネス価値を得られるようサポートする意向を明らかにした。

  1. ガバナンス:アナリティクス資産の増加とアウトプットの信頼性の向上
  2. 自動化:複数の手作業の自動化と正確さの改善
  3. Time to Value:貴重なデータサイエンティストのリソースを無駄にしないこと

 SASはこの新製品でエンドツーエンドのアナリティクスプロセスに焦点を当て、真の意味で組織がアナリティクスからビジネス価値を得られることをサポートしていく。



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著者プロフィール

  • 冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

     IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタントとして活動中。ビジネスとテクノロジーのギャップを埋めることに関心があり、現在はマーケティングテクノロジーを含む新興領域にフォーカスしている。

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