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セルフサービスBIはIT部門の敵なのか?

2017/10/06 08:00

 BIを定型化させることで、一時的に保たれてきたデータガバナンスは、セルフサービスBIによって、再び脅かされようとしています。しかし、データへのアクセスをいかに制限するかといった「守り」の考え方だけでは、これからのデータガバナンスは維持できません。むしろ、データをより有効に活用するための企業データ地図である「コーポレート・データモデル」の作成といった「攻め」の考え方に基づいたアプローチが必要になっています。

BIの歴史はデータガバナンスとの闘いの歴史?

 クライアント・サーバ型のアーキテクチャとともに登場した初期のBIでは、一般的なビジネスユーザでも、メインフレームの時代とは異なり、自由にデータにアクセスし自ら分析できることがメリットとされました。しかし、IT部門から見ると、メインフレームの時代では心配する必要のなかったデータへのアクセス管理という新たな課題が発生した時代でもありました。

 この時代において、分析用データベースに用いられるデータベースのほとんどは、RDB(リレーショナルデータベース)でした。RDBには当然様々なアクセス管理の機能がありましたが、主たる用途は業務系アプリケーションにおける書き込みの制御でした。しかし、データガバナンスの観点から期待されるのは、複雑なパターンでの読み出し制御であり、当時のRDBには、十分な機能がないか、あったとしても実行負荷が高く、性能低下を避けるために使用されずにいました。

 一方、この頃のBIツールの主流であったQ&Rツールには「ユーザ辞書」と呼ばれる機能がありました。「ユーザ辞書」とは、もともと物理的なデータベースのテーブルや列の名称を、一般的なビジネスユーザでも理解しやすい単語に置き換える機能でしたが、BIツールの普及がもたらすデータガバナンスの問題に応えるために、徐々にアクセス管理の機能が追加されていきました。具体的には、BIツールに登録されたユーザ(あるいはグループ)ごとに、「ユーザ辞書」に登録されたテーブル、列、計算式等のどれにアクセス可能であるかが定義できるようになっていました。

 しかし、残念なことに、この「ユーザ辞書」によるアクセス管理を活用したのは、ごく一部の企業だけでした。当時多くの企業では、BIツールの導入、運用はエンドユーザ部門主導で行われ、その流れで「ユーザ辞書」の管理もエンドユーザ部門に任され、IT部門が関与していませんでした。そのため、問題意識のあるIT部門は実現手段を持たず、あるいは持っていても気付かずにいたということになります。一方、エンドユーザ部門には実現手段はあったわけですが、現在と違い、情報漏えい対策などのデータガバナンスに対する意識はさほど高くはありませんでしたので、「ユーザ辞書」を使ったアクセス管理は多くの企業では行われませんでした。

 その後、3層型アーキテクチャへの移行が始まると、状況は一変します。クライアント・サーバ型のアーキテクチャの時代に、クライアントPCに散在してしまったソフトウエアやデータが、サーバに集約され、IT部門が集中管理する時代になりました。同時に、BIツールも大きな変化があり、第1回「セルフサービスBIは先祖返りしたBIなのか?」で説明したように、Webレポーティング・ツールが主流を占めるようになりました。

 Webレポーティング・ツールでは、データベースは一般的なビジネスユーザから見えないようになっており、基本的にレポート単位でのデータアクセスとなります。また、レポートの作成自体もIT部門の管理下にあり、作成されたレポートを、部門や役職といったあらかじめ設定されたアクセスレベルに沿って公開することでデータガバナンスの強化を図ることができました。

しかし、この解決方法は当時としては最適解だったのかもしれませんが、ユーザにどのデータをアクセスさせるかというレベルでの設定を行っているわけではありませんので、本質的な意味でのデータガバナンス的解決とはいえませんでした。そして、このことが、最新のセルフサービスBIの導入、展開にあたって、問題を再燃させる原因となってしまったのです。

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著者プロフィール

  • 平井 明夫(ヒライ アキオ)

    株式会社エムキューブ・プラスハート 事業企画コンサルタント DEC、コグノス、オラクル、IAFコンサルティングにおいて20年以上にわたり、ソフトウエア製品やITサービスのマーケティング、事業企画・運営に携わる。現在は、事業企画コンサルタントとしてIT企業の新規事業立上げ、事業再編を支援するかたわら...

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