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株式会社テクノ・システム・リサーチ シニアアナリスト 幕田範之氏 投資対効果を出さないベンダー、SIerとは付き合うな~10分でわかる運用管理ツール市場のトレンド

  2011/07/05 07:00

「開発1年、運用10年」。企業システムに必要不可欠な仕事を支える運用管理ツールに数年前から大きな変化が起きています。サーバー管理、ネットワーク管理、ジョブ管理といった定番の機能は健在ですが、ベンダー間の差別化競争はサービスマネジメントという新しい舞台に移りました。そして、この変化の背景には欧米を中心とした企業の情報システムに対する考え方があるようです。同分野に詳しいテクノ・システム・リサーチのシニアアナリスト 幕田範之氏に話を聞きました。

運用管理とサービスマネジメント、2つの思想

株式会社テクノ・システム・リサーチ シニアアナリスト 幕田範之氏
株式会社テクノ・システム・リサーチ
シニアアナリスト 幕田範之氏

――先日、運用管理ツールのセミナーに参加する機会があったのですが、最近は、サーバー管理やネットワーク管理、ジョブ管理といったものとはかなり異なる類のコンポーネントが出てきていることに驚きました。

 現在、運用管理ツールの市場と言った場合、従来型から存在している「狭義」の運用管理ツールと、最近になって登場したサービスマネジメントツールの二つが合わさったものを想像する場合が多いですね。狭義の運用管理ツールとは、サーバー管理やネットワーク管理、ジョブ管理など、皆さんにも馴染みの深い製品だと思います。ITインフラを安定的に稼働させることを目的としたツール群と言えるでしょう。これらのツールが形成していた市場に数年前から加わったのがサービスマネジメントと呼ばれる考え方を実践するためのツールです。サービスマネジメントは、情報システム部門がシステムの利用者に対してサービスを提供しており、その品質を向上させることによってビジネス上の利益を追求するべきだという考え方を指す言葉です。

――サービス、ですか?

 例えば、「アプリケーションが動かない」「ネットワークが繋がらない」というトラブルに利用者が直面した時、情報システム担当者は、「クライアントの設定が悪いです」「ポートを差し替えて下さい」といった具合に専門用語を使って回答をしてしまいがちです。でも、ITに詳しくない人にとっては必ずしもわかりやすい回答ではありませんし、そういった対応が積み重なると、結果としてシステムに対して苦手意識や嫌悪感を抱くことにも繋がりかねない。

 一方、自分たちがシステムの利用者に対してサービスを提供しているという考えに立てば、自然と行動も変わってきます。例えば、利用者にとって分かりやすい言葉を使って説明する。システムに関する問い合わせの窓口を一元化することでたらい回しを避ける。狭義の運用管理では、24時間365日システムが動き続けることを目的にしていましたが、いかにサービスを届けられるのかという目標に変わるというわけです。

 一見、単に社内的なサービスの向上を訴えているように聞こえますが、最終的に行き着くところは利益、売上の向上です。良いサービスを提供できれば、ビジネス部門の作業が効率的になったり、よりお客さんに適切なオファーができるようになったりする。結果、売上が伸びる。IT部門は業務部門をITで後押しすることによって、売上に貢献にできると考えるわけです。

「とにかくメールが見られないんだよ」
「イントラに手順書が置いてあるでしょう?」

 運用管理とサービスマネジメントは基本的には異なるアイディアですが、サービスマネジメントを考える上では運用管理が担ってきた部分、すなわち、サーバーやネットワークといったシステムのインフラを安定的に運用することも重要な要素になるんですね。目的は違うけれど手段はオーバーラップする部分がある。運用管理ツールを提供していたベンダーとしても、従来のインフラ管理が成熟するに従ってコモディティ化していく中、新しい市場という意味でサービスマネジメントは有望だと考えたのでしょう。

 そこで、既存の運用管理の製品ラインナップは包含したまま、サービスマネジメントに必要な機能を加えて、サービスマネジメントという文脈でパッケージングしようとしています。機能という面で見れば、これまでと同様の機能を提供しているものもありますが、目的とする部分が掛け変わっている。代表的なところでいくと、構成管理、変更管理、ランブック・オートメーション、サービスデスク、パフォーマンス管理といったものがサービスマネジメントとして新たに売り出されています。

 (次ページへ続く

 

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