Boxは、新たなエージェント型ソリューションを発表した。
新しいソリューションの中には、文書、プレゼンテーション、画像などから高精度なデータとインサイトを提供するAIエージェントを活用したデータ抽出ソリューション「Box Extract」、エージェントやチーム間の業務を連携させるために設計されたワークフロー自動化エンジン「Box Automate」、コンテンツ主導の業務プロセスを管理するアプリケーションを素早く構築できるノーコードソリューション「Box Apps」のAI機能拡張が含まれるという。
Box Extract
契約書や請求書、プレゼンテーション資料、スプレッドシート、スキャンした書類、画像などのコンテンツが持つ価値の多くは、構造化されていない形式に閉じ込められたままであり、大規模にアクセスすることは困難で時間がかかり、コストもかかるという。
Box Extractは、企業全体にわたるデータ抽出プロセスを簡素化し、大規模な抽出を管理できるようにするとのことだ。Box AI抽出エージェント(標準および上位)によるエージェント推論を活用し、文書を理解して情報を抽出するとしている。また、チームがこれらのエージェントをカスタマイズできるようにし、高度な技術を適用することで、プロセスにおける精度と信頼性の向上を実現すると述べている。
Box Extractを使うことで、ユーザーは以下が可能になるという。
- PDF、スプレッドシート、スキャンデータ、画像など幅広い形式に対応し、企業全体で構造化データを抽出する
- 高度なコンテンツ理解を適用し、テキスト、表、手書き文字、バーコード、その他の複雑な入力を正確に解釈する
- 深く入り組んだ相互関連データポイントの抽出を可能にすることで、フィールド間の意味的関係を捕捉する
- 組み込みの検証、クリーニング、フォーマット機能により、企業のワークフローに利用可能な信頼性の高いアウトプットを提供する
Box Extract APIを活用し、アプリケーションやビジネスプロセスにデータ抽出機能を統合する
Box Extractは、契約書や請求書、出荷記録、手書きの書類、ブランドアセットなど、AIを活用し、非構造化コンテンツをすぐに使えるデータに変換するとのことだ。これにより、企業全体の業務が効率化され、営業部門は取引サイクルを加速させ、法務部門は契約書を正確に審査し、財務部門は支払いをシームレスに照合し、人事部門は新入社員を迅速に受け入れ、オペレーション部門はサプライチェーンを円滑に維持することが可能になるとしている。
Box Automate
組織がエージェントやチームを横断して業務を連携することを可能にする、新たなエージェント型ワークフロー自動化ソリューションだという。プロセスの効率化、意思決定の加速、従来手動で行っていた作業の迅速化のために、エージェントを活用することが可能になるとのことだ。
また今後、Box Automateは日常的なタスクの自動化から複数システムを横断する完全自律型のエージェント型ワークフローまで、あらゆる業務をサポートするとしている。AIエージェントによるトリガー、チームやツール間の経路選択、自律型エージェントによる完全自動実行など、あらゆるシナリオにおいて、Box Automateは組織が業務上重要なタスクを効率化し、新たなレベルの生産性を実現することを可能にすると述べている。
Box Automateを使うことで、ユーザーは以下が可能になるという。
- AIネイティブのプロセス向けに構築された直感的なノーコード/ローコードビルダーを使用して、ワークフローを視覚的に設計および管理する
- 質疑応答や合成、抽出、検索、調査などの基盤となるBoxのエージェントを含め、特定のワークフローのニーズに対して、エージェントを作成・カスタマイズする
- 業務のロジックやリアルタイムのコンテキストに基づいて、これらのエージェント、人間、システム間のタスクを動的に振り分ける
- Box標準ツールであるBox FormsやBox Doc Gen、Box Sign、Box Hubsを使って自動化を加速する
- ワークフローを拡張し、APIを介してカスタムアプリケーションやシステム全体に統合する。また、Model Context Protocol(MCP)などのオープンスタンダードを活用し、サードパーティのAIエコシステムと連携する
契約管理から顧客オンボーディング、現場業務、営業自動化、請求書処理などの業務で、エージェントのスピード、AIの精度、Boxのセキュリティとコンプライアンスを融合し、業界を問わず部門別または部門横断的なワークフローの変革を実現するとしている。
Box AppsにAI機能を拡張
Box Appsは、ビジネスに不可欠なプロセスを構築・管理する手段だと同社は述べている。組織がコンテンツ、メタデータ、ユーザー、ワークフロー、そして新たにエージェントを統合するインテリジェントなノーコードダッシュボードを構築することを可能にするとのことだ。データ駆動型ダッシュボード、エージェント支援型分析、組み込みワークフローを統合することで、Box Appsは静的なリポジトリを動的なビジネスツールへと変革し、大規模な環境において迅速かつ精度の高い意思決定を実現するとしている。これにより、チームは契約管理、デジタル資産ライブラリ、オンボーディングなどのユースケースを再考し、AIファースト時代に向けた新たな可能性を拓くことができるとのことだ。
Box Appsの新機能により、ユーザーは以下が可能になるという。
- エージェント支援型分析を活用し、コンテンツ内の傾向、異常、推奨されるアクションを特定する
- AIを活用した自然言語クエリで、コンテンツビューを素早くフィルタリング、分類、探索する
- 明確で実用的なインサイトを得るために、チャートやグラフなどの動的なデータ可視化をする
- 異なるチームやユーザー役割の固有のニーズに対応するため、複数のダッシュボードを作成・管理する
- Salesforceなどのサードパーティプラットフォームにアプリを直接組み込み、シームレスなアクセスと操作を実現する
現在、ユーザーはBox AI StudioおよびBox AI APIを活用し、Anthropic、Amazon、Google、IBM、Meta、OpenAI、xAIが提供するAIモデルの中から、自社のビジネスニーズに最適なモデルを選択できるという。
加えて、リモートBox MCPサーバーと既存の統合機能(Anthropic Claude、Microsoft 365 Copilot、Mistral Le Chat、OpenAI ChatGPT、Salesforce Agentforceなど)を活用し、Boxコンテンツをサードパーティ製およびカスタムエージェントに拡張できるとのことだ。
GitHub Copilot、IBM WatsonX Orchestrate、ServiceNow AI Agent Fabricなどへの対応も追加予定だとしている。
提供形態
Box Extract、Box Automate、Box Appsの拡張機能は、今後数ヵ月のうちにEnterprise Advancedプランの顧客向けに利用可能になる予定だという。
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EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)
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