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富士通のソフトウェア事業の現状とこれから

  2011/09/20 12:58

より使いやすいソフトウェアの追求~スマートテクノロジー

 「ソフトウェアはまだまだ使い辛い部分がたくさんあり、もっと使いやすいものを追求する必要がある。特に、中小企業を開拓していく上では『すぐに導入して、すぐに使える』を実現していく必要がある」(山中氏)との理念の下、富士通が注力するのがスマートテクノロジーだ。今のところ、3つの機能が具体化している。

スマートセットアップ

 ソフトウェアを導入する際に生じる各種作業を簡略化する。例えば、中小規模データベースソフトウェア「Symfoware Server Lite Edition V10」には既存ユーザーへの調査結果を基にした最適化モデルが組み込まれており、サーバー、ディスク、メモリなどの構成情報に応じて各パラメーターやデータベース領域、バックアップ領域を自動的に設定する。従来は、導入時に189ものパラメータを設定する必要があった。

スマートリカバリー

 スマートセットアップを備えたSymfoware Server Lite Edition V10は、障害発生時のリカバリー方法の判別も自動で行う。「もともと、ミドルウェアは障害自体に関する正確な情報を持っているが、利用環境がそれぞれ異なるため人が適切な対策を考える必要があった」(新田氏)。しかし、設定値からバックアップの運用まで定型化されたスマートセットアップを利用していれば、大半のエラーに対する処置を自動的に判断し、ユーザーに提示できるわけだ。

スマートチューニング

 スマートチューニングはJavaアプリケーションのフル・ガーベジコレクション(Full GC)を回避するための技術。アプリケーション・サーバー「Interstage Application Server V10」に搭載されている。メモリの使用状況を監視し、Full GCが発生する予兆を検知した段階で、流量制御やプロセスの退避を行った上で意図的にガーベジコレクションを発生させる。予期せぬパフォーマンス低下を回避する。

新しいビジネスに向けてのイノベーション

 一方、ビッグデータ活用やクラウドサービスなど新しい技術を取り入れた製品も投入していく予定だ。

ビッグデータ活用の統合プラットフォーム「CSPF(コンバージェンスサービス・プラットフォーム)」

 オープンソースの並列分散処理ソフトウェアHadoopや複合イベント処理エンジンに富士通のアプリケーション・サーバーやデータベースなどのミドルウェアや、データ分析ソフトウェア、開発、運用ツールを組み合わせたプラットフォーム。ビッグデータのリアルタイム処理と、統合、分析、利用に必要な技術をすべて統合した世界初のPaaSとして、2011年度下期の提供開始を予定している。

業務プロセス統合を実現するPaaS「Cordys」

 オランダに拠点を置くCordys社のビジネス・オペレーション・プラットフォーム・ソフトウェアを2011年度下期からOEMで販売する。既存のERPシステムなどとクラウドサービスを統合して業務プロセスを統合的に管理するもので、アプリケーションの開発を行う必要がない点が特徴だ。

スケールアウト型分散キャッシュによる大量データ処理

 「インターネットを介した消費者向けサービスの普及によってOLTPの形が変わってきた。接続数のオーダーが千から数十万へと膨れ上がり、データの保持期間も長くなった。また、レコメンドなどを行う場合には企業内のさまざまなデータベースを横断的に参照する。このような変化に従来型の仕組みは対応しきれなくなっている」(新田氏)。

 特に、大量データを処理する際にボトルネックとなるデータベースへのアクセス時間を短縮するために、東京証券取引所で実績のあるインメモリーデータ管理技術「Primesoft」ベースのスケールアウト型分散キャッシュ「Interstage XTP(仮称)」の開発を進めている。また、「Symfoware Server」自体も2012年度上期を目標にエンハンスする予定だ。オラクルのExadataに対抗しうる製品技術になるという。

 データウェアハウス向けデータベースとして、現在のRDBベースの製品に富士通が持つ高速検索技術「Shunsaku」とHadoopを組み合わせたビジネス・アナリティクス向けの次世代データベースの開発も進めている。来年度以降の提供になる模様だ。

Andorid、iOS向けアプリケーション実行環境

 今年12月には、Andorid、iOS向けアプリケーション実行環境を提供する。「パソコンだけではなくタブレット、スマートフォンをビジネスの現場で使おうという流れが出てきている。それらにきっちり対応していく」(山中氏)。

ハード・ソフトウェア垂直統合型商品の提供

 導入にかかる負担を減らす目的で各ベンダーが取り組むアプライアンス化の流れにも追随する。既に「MS Hyper-V Cloud Fast Track」(2011年7月)、「Cloud Ready Blocks」(2011年7月)の提供を開始しているほか、「DI Blocks(DI:Dynamic Infrastructures)」(2011年度下期)のリリースも予定している。

今後の動向

 今後、事業の拡大に向けて継続的にポートフォリオの体系的な強化を図るとともに、ハードウェア・ソフトウェア戦略をホワイトペーパーとしてまとめ、積極的な情報発信を行っていく。また、グローバル市場における競争力強化のためにグローバルソフトウェアセンターを年度内にも設立する予定だ。海外市場のマーケティングや技術調査を行う。

 山中氏は「富士通のビジネスにとって非常に重要なポジションにある。色々と頑張っているが、今後もエンハンスを続けてしっかりとやっていきたい」と結んだ。



著者プロフィール

  • EnterpriseZine編集部(エンタープライズジン ヘンシュウブ)

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